二階堂ふみに聞く「中間地点でありたい」姿勢、「俳優部」としての喜び(後編)
「頼りない」主演でも受け入れてもらった
──今回、こうして二階堂さんにお話を聞く機会自体、ドラマ側、局側がプロモーションとして設けたのではなく、二階堂さんご自身が提案されて生まれたと伺いました。そういう意識の方が主役を演じているのは素敵だと思います。 二階堂 作品についてお話をしたいことがたくさんあって。その機会がほしいなと思っていたので、こちらこそありがたいです。主役としては全然、本当にまだまだで、頼りなくて。 ──実際にはそんなことないだろうと思いつつ、そうやって「まだまだ頼りない」と思いながら二階堂さんが真ん中に立っていることは、ドラマの中で侑里が周りに助けられながら社長としてやっていることと重なって、このドラマにとっていい効果を生んでいるようにも思えます。 二階堂 そうですね……。主演としてはあまりにも頼りなかっただろうから、俳優部の他の皆さんにも、それぞれの部署にもご迷惑をおかけした部分はあったと思います。でも、不完全な状態でも受け入れてくださる方々がいたから、私はこの現場で主人公というものを全うできたんだなと思うんですよね。それに対して本当に感謝していて。ドラマに関わったスタッフへの愛でずっとやっていた。それが、この作品へのモチベーションだったんです。みんなでいろんなことを乗り越えて、ひとつの作品をみんなで作った。1シーン1カット、「明日はこうしてみよう」「もっとこうできるかもしれない」と毎日課題があったから、本当にあっという間でした。最終回を間近に控えて、本当にさみしくて。「みんなとずっといたい!」と言いすぎて、ちょっとうざいくらい(笑)。それくらい、愛情と優しさと思いやりに満ちた現場でした。このドラマに参加できたことは、俳優部としてエンターテイメントに関わる仕事を続けてきて本当によかったなと思えるものでした。 ──改めて『Eye Love You』という作品を考えたとき、「胸キュン」であったり、あるいは日本のドラマに挑んだジョンヒョプさんの存在がまず目に入りますが、そこを支えるものがすごく大きかったんだなと、二階堂さんのお話で気付かされました。 二階堂 ジョンヒョプさんのアイディアがたくさんある中で、そのアイディアを実現することを、誰一人諦めないんですよね。実現に向かってうごくエネルギーをみんなが持っていて、それぞれのよさに光を当てていくような現場だったと思います。だからこそ、素敵な演技をしてくださるジョンヒョプさんの魅力も倍増して見えたと思うんです。スタッフのみなさんからのその気持ちはもちろん、私たちに対しても感じましたし。……こういうお話をどこかで伝えられたらと思っていたので、今回お話できてとてもうれしかったです。 ●二階堂ふみ 1994年生まれ、沖縄県出身。2009年『ガマの油』で映画デビュー。主な近作に映画『月』(2023)、『翔んで埼玉~琵琶湖より愛を込めて~』(2023)、『エール』(NHK)、『プロミス・シンデレラ』(TBS)、『VIVANT』(TBS)、『SHOGUN』(Disney+)など。『Eye Love You』で新たに好きになった食べ物はチェ・ジョンヒョプさんから帰省のお土産でもらったキムブガク(韓国ののり天)。 ●TBS火曜ドラマ『Eye Love You』 人の心の声が聞こえる能力を持つ本宮侑里(二階堂ふみ)。学生時代の仲間と環境に配慮したチョコレートショップを立ち上げ、社長を務めている。しかし能力のせいで恋は諦めていた。そんな彼女の前に、歳下の韓国人留学生ユン・テオ(チェ・ジョンヒョプ)が現れる。心の声が韓国語のため、侑里にはテオの本心を読むことができない。ストレートに気持ちを表現するテオによって侑里は少しずつ変化していく。 シャツ¥35,200(AURALEE)03-6427-7141/シューズ¥159,500(TACHINO CHIE)tachinochie.com/その他*スタイリスト私物 Photo_Wataru Kitao Text_Fumie Tsuruki Edit_Yukiko Arai
GINZA