上白石萌歌、24歳の決意。「形を選ばず自分が面白いと思ったことは全部やっていきたい」
一番の仲良しを聞かれたら、真っ先に私は姉の名前を挙げます
── ところでこの作品は家族の物語でもありますよね。ご自身はお父様との関係はいかがですか? 上白石 ウチはお陰様で良好です(笑)。離れて暮らすのが早かったので、いわゆる反抗期の時期も一緒にいなかったから、“どっぷり反抗期”みたいなものはありませんでした。それはそれで少し寂しい感じではあるんですけど、だからこそずっと仲良しでいられるのかなと。父は学校の先生をしているのですが、作品を観た後に学級通信みたいな言葉を送ってくれます。「これからも自分を信じて頑張りなさい」みたいな(笑)。 ── 「リア王」の3姉妹は仲が良くありませんが(笑)、上白石姉妹は大変仲良しです。今回、姉である萌音さんとは何かお話されましたか。 上白石 はい、私は久しぶりの舞台なんですが、姉は最近もずっと舞台をやっているので、その辺りの大変さも分かってくれるから色々話を聞いてもらっています。姉は一番身近な、他にはない存在です。同じ仕事をしているからこそ大変さがわかるし、姉を羨ましく思うこともあるし。たくさんの気持ちを通わせてきたからこその絆が今あると思います。一番の仲良しを聞かれたら、真っ先に私は姉の名前を挙げる、それくらい固い絆になってきている気がします。 ── 演出家はショーン・ホームズさんですが、これまでの演出作品でご覧になられたものは? 上白石 ショーンが日本で上演している作品は今回も入れると4作品、偶然にもこれまでの3作品をすべて拝見しています。ショーンの演出は舞台上がクリーンなことが多くて、答えをわかりやすくは提示してくれないけれど、でもそこにしがみついていきたくなる、そういう面白さを感じていました。 チェーホフの『桜の園』の時にも感じましたが、伝統的な劇曲にショーンならではの現代の風を吹かせているようなイメージがあります。今回の『リア王』も伝統的な戯曲ですが、いわゆる古典的な劇にはならないかもしれません。筋書きやセリフはトラディショナルなままですが、衣装も不思議な感じですし、例えば現代に普通にあるものを舞台上に置こうとしている試みは感じます。きっとショーンにしか創り出せない世界があるでしょうから、それが今から楽しみです。