人民元トレーダーを困惑させる中国、中心レートの動き読みにくく
(ブルームバーグ): 中国による為替管理で、最も重要な部分を占める人民元の中心レートをうまく乗り切ろうとしているトレーダーにとっては、見通しがますます悪くなっている。
中国人民銀行(中央銀行)は今月22日以降、市場の期待を誘導する上で選好する中心レートを元安方向に設定したり、一転して元高方向にかじを切ったりと、意図がはっきりしなくなっている。22日は中心レートを元安方向に設定したことが一因で元相場が急落。その後の2営業日の同レートは元高方向となり、相場は持ち直した。
中国人民元が反発-中心レートは予想より元高水準、相場下支え示す
今や中心レートは市場の動揺を和らげるどころか、トレーダーやアナリストの予想が大きく分かれる原因となっている。
人民銀は元安を抑えようとしているとし、元相場が安定する可能性が高いと主張する向きがある一方、当局は輸出の後押しも視野に元に対するコントロールを緩め、元安に誘導しようとしており、ボラティリティーは今後高まるとする見方もある。
中国経済の悲観的な見通しや投資家心理の悪化、ドル高再燃に直面する人民元トレーダーにとって、こうした混在したシグナルはさらに不透明感を高める。当局がコントロールの緩和を決めた場合、潜在的に一段と大きな変動の余地も広がる。
ナティクシスのアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレロ氏は人民銀のシグナルについて、明確さが十分でないと指摘。「最初のメッセージは元安だったが、今は過度な下落を恐れているように見受けられる」と話す。
マラヤン・バンキングのシニア為替ストラテジスト、フィオナ・リム氏は「当面、人民元にとって越えてはならない新たな一線が設けられるかもしれないが、その線がどこにあるのかが分からない」とし、人民銀は元安ペースをコントロールしつつ、市場の相場形成をより認めるという微妙なかじ取りに向かおうとしているとの見方を示す。