福岡と名古屋が特に多い…『スタエン』ライブ会場でアイドルの盗撮写真を販売する“闇写屋台”とは?
『STARTO ENTERTAINMENT』(以下、『スタエン』) のアイドルたちの隠し撮りや、撮影禁止であるはずのライブ中の写真は、ファンの間で「闇写(闇写真の略)」と呼ばれている。昔から、ライブ会場周辺には、チケットを転売するダフ屋と「闇写屋台」が付き物だ。ダフ屋と連携して、盗撮をしやすい席のチケットを手に入れることで商売を続けてきた闇写屋台。平成中期の最盛期には月600万円もの売り上げをあげていたという。 【実物写真】やばすぎる…!アイドルの盗撮写真を売りさばく闇業者の「異様な実店舗」 「スタエンのライブは撮影しやすい条件が2つ揃っていますね。1つ目は、観客のほとんどがうちわを持っていること。うちわに『こっち向いて』などのメッセージを書いてみせると、アイドルが答えてくれるんですよ。ファンの子たちはうちわを何枚も作ってきて、近くに来たメンバーによって変えたりしているから、こっちも手元を隠してゴソゴソやっていても不自然じゃない。『LDH』や普通のアーティストだとうちわの持ち込みが禁止されているライブも多いのですが、スタエンは文化として根付いています。 2つ目は、チケットの転売対策が整っていないこと。リセール制度(何らかの事情で行けなくなった客のチケットを公式の運営が引き取り、抽選で希望者に配布しなおす制度)もないし、ライブ会場に入る際の本人確認もない。転売サイトや個人的にやり取りするなどしていくらでも撮影しやすい席のチケットがとれるんです。会場に入るカメラマンはたいてい二人一組。二重になっているカバンで一眼レフを持ち込み、一人がうちわなどの応援グッズで手元を隠しながら、もう一人がスタンド席上部などから望遠で狙う場合が多いですよ」(闇写屋台関係者) ◆福岡と名古屋に多いわけ ’16~’17年にかけてチケットが紙からデジタルへ移行されるとともに、アリーナ・ドームともに路上のダフ屋が一掃され、同時に闇写屋台も姿を消した。しかし、手を替え品を替え、闇写屋台は現在も存在する。 「まず東京ドームでは商売できないですね。闇写屋台はドーム敷地外の公道でないと出せないのですが、東京ドームは敷地内に飲食店などがあるので、観客が敷地の外に出ない。さらに見回りの警備員の数も多く、主要な2つの駅に挟まれているのでひっそり営業できる場所がないんですよ。札幌は、シンプルに寒すぎる。暖かい時期にしか儲けられないのなら別の方法を考えたほうがいい」(闇ショ関係者) 大阪も東京と同様の理由で闇写屋台を出すのは至難の業だという。そんな中、日本5大ドームの中でなぜか福岡と名古屋では、今でも闇写屋台を一掃できない理由があるという。 「地方のドームにはイオンモールなど大型商業施設が併設されており、福岡の『みずほPayPayドーム』や名古屋の『バンテリンドーム ナゴヤ』も同様です。地方でドーム球場が建てられるのは郊外なので、他に飲食店もない。ライブに参加するファンたちは友達と待ち合わせしたり、グッズを購入したり、チケットを取引するために開演3時間前からライブ会場に来る人が多いのですが、併設する商業施設で過ごすしかないので屋台を目にする機会が増えます。また、基本的に周辺にはそのライブに参加する人しかいないので、部外者に通報されにくい。かさねて立地的にも大きな車道に面しているので路上駐車もしやすく、見つかってもすぐ撤収して車で逃げやすいんです。神出鬼没に活動できるので、摘発しようにもできないんですよ」(警備会社関係者) 『スタエン』から公式で発売されるのは、ライブの数ヵ月前に撮影したイメージ写真やアルバム撮影時のオフショットなどで、ライブ中の写真はこういった非公式ショップの盗撮でなければ入手できない。そのため、違法とわかっていながらも購入するファンが一定数いるのだという。 「『スタエン』の盗撮写真を販売する闇ショ(闇ショップの略)は全国の繁華街にありますが、福岡だけ都心から電車で1時間以上かかる遠方にしか店舗がないんです。ドームからも1時間半くらいかかるし、ライブのついでに行くには遠すぎるから、ついライブ会場に来ている闇写屋台が出してる写真を見ちゃう。価格も8枚セットで1000円くらい。自担(推しているアイドル)がライブ中に髪型を変えたりしたら、そのビジュ(ビジュアルの略)の写真はここだけでしか手に入らないんですよね」(アイドルオタクのマイ・仮名・23) また名古屋では「闇写屋台」が堂々とSNSを使い、毎週新入荷したラインナップを知らせ、巧みに営業している。 「名古屋はテナントを借りた店舗よりも闇写屋台のほうが息が長い。常設店舗は移転を繰り返したり、すぐに潰れたり……。とにかくどこにあるのか情報が手に入りにくいんです。店舗が安定しない分、ライブ会場目の前にいる屋台に需要があるようです。写真のラインナップには名古屋公演以外のものも含まれており、全国規模で活動していることがわかります」 (前出・警備会社関係者) 売られている闇写には、憧れのアイドルが喫煙所でタバコをくゆらせている写真や、楽屋の出入りの写真、なかには中高生タレントの登下校中の写真などもあった。支払いはすべて現金手渡し。ファン一人一人が安易に利用しないことが、撲滅に向けた一番の近道なのかもしれない。
FRIDAYデジタル