野村HDの7―9月期、純利益は2.8倍の984億円 全部門で収益拡大
Miho Uranaka [東京 1日 ロイター] - 野村ホールディングスが1日に発表した2024年7─9月期(第2・四半期)の純利益は、前年同期比2.8倍の984億円だった。主要3部門で収益を拡大した一方でコストを抑制したことから、税前利益と純利益で20年4─6月以来の4年ぶりの高水準となった。 海外3地域がすべて黒字を計上し、一部の海外部門でで繰越欠損金の活用が進んだことで実効税率も27%に低下した恩恵もあったが、北村巧財務統括責任者(CFO)は「非常に強い決算」と総括した。 主要3部門の税前利益は1225億円で、6四半期連続で増益を達成した。25年3月期の業績予想は開示していないが、5月のインベスター・デーで、今期の経営目標として主要3部門の税前利益を2880億円と発表している。上半期の進捗率は、81%に上る。IBESがまとめたアナリスト5人による今期連結純利益の予想平均値は2405億円。 ROEは11.6%で、2030年までの目標としている8─10%以上の上限寄りでの着地となった。 法人向けのホールセール部門は、前年同期比5.5倍の453億円だった。日本やアジアのデリバティブの分野が好調で株式関連のエクイティプロダクトが大幅増収となった。海外のM&A(企業の買収・合併)助言業務や政策保有株の売却に伴う売り出し案件への関与なども、増益に貢献した。 国内リテール営業のウェルス・マネジメント部門は同56%増の453億円だった。資産管理型ビジネスへの取り組みが浸透し、株式市場のボラティリティが高まる中でも、ストック収入が増加、過去最高を更新した。 投資・運用を手掛けるインベストメント・マネジメント部門は38%増の319億円だった。部門収益が設立以来の最高水準となった。アクティブ運用や未公開資産への資金流が継続しプロダクトミックスも改善した。 証券子会社の野村証券は昨日、国債先物取引における相場操縦問題で金融庁から課徴金納付命令を受けた。野村HDは課徴金を納付し、再発防止策を公表している。北村CFOは、会見の冒頭に謝罪。社債を中心として機関投資家から発注停止などの影響が出ているとしたが、「全体収益に与える影響は限定的」との見方を示した。 事件当時野村証券の社員だった29歳の男性が強盗殺人未遂と現住建造物等放火の疑いで逮捕されたとの報道については、「1人の元社員が起こした事案だが、会社全体のビジネスに与える影響というのは考慮せざるを得ない」と語った。 *会社発表の決算要旨は以下でご覧いただけます。