この時期「半夏生」に食べる習慣 瀬戸内のタコに異変 いったい何が…円安の影響も 広島
広島ニュースTSS
気候変動や国際情勢などの環境の変化が伝統や風習にも、影響を与え始めています。 今、何が起こっているのか・・・・。 取材は、辰巳 麗アナウンサーです。 【辰巳 麗アナウンサー】 こちらの言葉『半夏生』わかりますか? 読み方は「はんげしょう」といって季節の節目を表す節分などと同じ雑節の1つです。 「半夏生」とは、夏至から11日目、今年は7月1日が「半夏生」になるんです。 「半夏生」に行う風習は全国各地で様々ですが、福井県では「サバ」を食べる。 奈良県では、収穫を終えた小麦で作った「モチ」や「お菓子」を食べる風習があるそうです。 様々な風習がある中で、注目したのがタコです。 実は、関西を中心に、瀬戸内の一部地域では、この時期にタコを食べる習慣があるんです。 関東出身の私にはなじみがないのですが、瀬戸内のタコを味わってみました。 広島市内で鮮魚料理を扱う飲食店を訪ねました。 【辰巳アナ】 「こんにちは宜しくお願いします」 店主の増田さんは市場で働いていたこともある魚の目利きです。 【和醸 薫る・増田 薫 店主】 「きょうは江田島のタコを用意しました」 タコの身を完全に切りきらないで調理する。ここが、プロの技です。 【和醸 薫る・増田 薫 店主】 「ハモの骨切りみたいな感じですね。ぎりぎりで包丁を止めて(身が)つながっているという状態ですね」 このタコを炭火で、さっとあぶります。 糸ウリ、ジュンサイ、オクラなどの旬の野菜を盛り込んでいきます。 「酢の物」や「天ぷら」のイメージが強いタコですが、色々な料理があるんです。 塩とスダチのジュレで味付けをして、最後にスダチの皮を振りかけて完成です。 <辰巳アナの前に料理が…> 【辰巳アナ】 「ありがとうございます。見た目がきれい」 今が旬の食材が皿に盛られた季節を頂くといった一品です。 【辰巳アナ】 「いただきます。おいしい。タコのこりこりとジュンサイのつるっとした感じが、タコを包み込んでいる感じがして、おいしいです」 もう一品は、こちらです。 【和醸 薫る・増田 薫 店主】 「タコを柔らか煮にしたものを具にして、サトイモとヤマトイモと安芸津のジャガイモを混ぜて蒸して、裏ごしたものを生地にしてあります」 この饅頭に片栗粉を薄くつけて、油でカリッと揚げます。最後に葛でとろみをつけた出汁の餡をかけて完成です。 【辰巳アナ】 「タコがやわらかい。おいしいです」 イモの食感に合うようにタコの硬さを合わせてあるんだそうです。 多くの人に愛されてきた瀬戸内の名物。 地元の食材との相性抜群のタコの実力を感じました。 【辰巳アナ】 「ふたを開けた瞬間からスダチのいい香りがしました」 【和醸 薫る・増田 薫 店主】 「ユズなんですけどね」 <スタジオ> 辰巳さん美味しそうに食べていましたね。 【辰巳アナ】 本当においしかったです。様々な料理法もありタコが瀬戸内で身近な食材なんだなと改めて感じました。 しかし、このタコ、今、異変が起きているんです。 【辰巳アナ】(けさ4日朝) 「広島市中央卸売市場にやって来ました、瀬戸内のタコを取材します」 1680年創業の老舗魚卸店を訪ねました。 私たちに身近な食材、タコに今、何が起こっているのでしょうか? 【広島市中央卸売市場・吉文 吉本 崇仁 社長】 「魚屋なのであって当たり前なんですけど、年々入荷が少なくなってきて、昔ながらの魚屋さんだと『ここの産地のタコがいい』『ここの産地のタコがいい』という人が多くいるが、年々とれなくなってきている」 人気食材のタコですが、瀬戸内海のタコの漁獲量は、年々減少傾向にあり、2011年からの10年間で、漁獲量は、6割程度に減少し、ピーク時の2002年と比較すると、漁獲量は3割以下に減少しています。 【広島市中央卸売市場・吉文 吉本 崇仁 社長】 「(タコは)いつもあって、ある程度値段も落ちついているという感覚がみんなあるのですが、年々値段も高くなって、高い時は、1割くらいは当たり前に(値段が)上がっているような感じ。円安などの影響で輸入ものが高くなると必然的に国内需要が(高まる)、海外(のタコ)が使えなくなるので、国産のタコの需要が高くなって値段がさらに上がる」 <スタジオ> 【辰巳アナ】 「タコの漁獲量が減っている原因としては、釣り人を含む乱獲や、水温の上昇などの環境の変化、あるいはエサの減少をあげる人もいます」 【コメンテーター:JICA中国 新川美佐絵さん】(青年海外協力隊などを経験し現在はSDGsの啓発活動を行う) 「魚が獲れなくなってきているとか、時期が変わってくるっていうニュースをいつも見てるので、やっぱり本当に因果関係とかを、きちんと踏まえて考えていかなきゃいけないんだろうなと思いますね」
広島ニュースTSS