兵庫県 播州産地がオープンファクトリー開催「昔話はもういい。もういっぺん、現場を開く」
“日本一小さな” 紡績工場を独自でオープン
玉木新雌はなんと、独自で紡績工場も作ってしまった。2年をかけて機械を集め“日本一小さい紡績工場”を4月に本格オープンをする。オープンファクトリーで説明を担当したのは、播州産地で長年この仕事に携わった後同社に入った藤原雅則紡績担当だ。トルコから仕入れたオーガニックコットンを用いた紡績の全工程を実に楽しそうに説明する。「紡績はクリエイティブ。玉木さんはきれいな糸よりも表情のある糸が良いという。原料からこだわり、ここにしかない糸を作りたい」と藤原氏。今進めているのは、国内の有機栽培コットン農家・団体との連携だ。 「白は200色ある」を地で行く、先染めの全工程を一貫する東播染工 <p>播州織りと言えば先染めが有名であり、その先染めの代名詞とも言えるのが東播染工だ。日本で唯一、染色・サイジング・織り・加工まで一貫で行う先染め織物に特化した1943年創業のテキスタイルメーカーで大量生産商品から、デザイナーズブランドのこだわりの表現までを担う。日本生産にこだわり、大型機械を用いた全工程を広大な敷地の中で一貫している。</p> <p>機械の稼働規模が大きいため、週末開催の「もっぺん」でのオープンファクトリーには参加していない。糸編が主催する「産地の学校」では休日の工場を訪れ、担当者から話を聞いた。上記の写真は電気を落とした工場の様子だ。ゴミも汚れも全く見当たらない磨き上げた機械と床を見れば徹底管理もまた職人の仕事のひとつだと理解する。</p> <p>染めは素材、ロットサイズ、天候などあらゆる条件で染め上がりが変わってくる。機械を前にした人の手がそこで生きてくる。タレントのアンミカさんの有名な「白って200色あんねん」のあの言葉をここではまさしく目にすることができるのだ。</p> 縫製工場の開設でジレンマを解消し、“メード・イン・播州” <p>播州織の産元商社である播は今年、西脇市に縫製工場を開設した。目的は「ここから“メード・イン・播州”の品を消費者に届ける」こと。播州織りの生地であっても中国で縫製すれば“メード・イン・チャイナ”となる。そのジレンマを少しでも解消しようと、西脇市の「西脇ファッション都市構想」事業を活用し、生地づくりから縫製まで、産地での一貫生産の体制を整えた。自社ブランドのワイシャツや、他社から委託を受けた商品を生産している。</p> <p>新工場の建物面積は約650平方メートルで、ミシン約30台やコンピューター制御の裁断機、アイロン台など、最新式の設備を導入した。従業員は新たに雇用した10人からスタートし、熟練度を高めながら20人程度まで増やすという。雇用を通じて街との産業のつながりも深めてゆくのも狙いだ。 <p>オープンファクトリー時に同工場を訪れていた西脇市の職人は、「もっぺん」の初開催について「播州織という共通の地場産業を有する西脇市と多可町が、2市町の垣根を超えて地域一体となって活性化に取り組めたことが一番の成果。今後は認知度向上に向けたPRを強化し、コンセプトである“まちびらき”に向けて、地域住民をさらに巻き込む工夫をしてゆく。そのためにも継続して開催するための人や資金の仕組みづくりが課題だ」と話している。</p> </p>