厚労省2050年推計 福島県内単身高齢世帯21.9% 全国平均超え 孤立防止が課題
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は12日、都道府県別の世帯数の将来推計を公表した。福島県の世帯総数に占める65歳以上の単身高齢世帯の割合は2050年に21・9%と、5世帯に1世帯に達する。2020(令和2)年時点で13・0%と全国平均より低かった単身高齢者の割合は2025年に全国平均を超え、以降も上回り続ける。5年前の前回推計と比べて増加傾向が強まっている。1人で暮らす高齢者が増える背景には未婚化や若者の県外流出、生活様式の変化など複合的な要因が絡む。県は高齢者の孤立防止や地域社会の維持が課題となるとみて、支援態勢の構築や若者の定着促進に努める。 推計は2020年の国勢調査に基づく。福島県の30年間(2020~2050年)の総世帯数と、単身高齢世帯数、全体に占める割合の推移は【グラフ】の通り。65歳以上の単身世帯数は2025年に10万世帯を超え、2045年まで増え続ける。全体に占める割合も5年ごとに1・1ポイント~1・8ポイントずつ上昇して2045年に2割を超える見込みだ。このうち、後期高齢者に当たる75歳以上の単身世帯数は2050年には約8万5千世帯となり、総世帯に占める割合は13・9%と推計している。
福島県と全国の単身高齢世帯の割合を比べると、2020年の福島県は13・0%と全国平均13・2%を0・2ポイント下回っていたが、2025年には14・7%に上昇し、全国平均14・2%を逆転。2050年には全国との差は1・3ポイントに広がる。 2015年国勢調査に基づく前回推計と比べても単身高齢者の割合は前倒しで増えている。2030年の割合の推計値は16・1%で前回比0・2ポイント増、2040年の割合は19・3%で前回比0・5ポイント増となる。 1人で暮らす高齢者の増加や年齢層の高まりは、本人の安否確認や健康維持、孤立、防災・防犯など多方面で社会的な課題が生じる他、地域コミュニティーの維持などの影響も懸念される。 県は未婚男女の増加や若年層の県外流出が将来的に単身高齢者世帯が増える要因と分析。出会いの機会の創出を含めた官民連携の結婚支援事業を強化するなどして、若い世代の県内定着につなげる。高齢夫婦のみ世帯を含む高齢者世帯の増加に備え、介護・福祉や防犯などの面からも見回りやケアなどの態勢も充実させる方針だ。
■総世帯は61万2000 2025年ピークに減少 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2020年国勢調査に基づく県内の総世帯数は2025年の約75万3千世帯をピークに減少傾向に入る。2050年の総世帯数は約61万2千世帯で、2020年の約74万世帯に比べて約12万8千世帯(17・2%)減ると見込んでいる。30年間の減少率は全国平均の5・6%を11・6ポイント上回り、福島県の人口減少の進行を示す結果となっている。