元毎日新聞オリパラ室長・パリ五輪の「隠れた快挙の裏側」を語る
D級は必ずしもサッカーをやってきた人ではなく、子供がサッカーチームに入ったからコーチ役を引き受けたなどという、普通のおじさんも少なくないのですが、要は、こうした普通のおじさんがヨーロッパで長年積み重ねてきたようなメソッドを曲がりなりにも実践してそれなりに理解して、地域で子供たちに教える態勢になっているということが重要です。 ■審判ライセンス取得者に届くFIFAからの通知 よく休日に河川敷をランニングしているときに子供がサッカーの試合をしているのを目にするのですけど、言葉は悪いですが裾のレベルでもこうした基礎ができており、そこが底上げされて頂点、つまり日本代表といったトップチームはより高みに行ったわけです。そのトップ選手は世界の超一流のリーグ、チームでもまれるわけですから、より一層レベルは上がっていったということになります。 これは審判にもいえます。子供の試合に行くと、自分たちの試合の後に別の試合の審判をすることがよくあり、「後審(あとしん)」などと言うんですが「どうせ審判をするなら」と、一日の講習で取れる資格を取る人が少なくありません。実はサッカーの場合、国際組織であるFIFA(国際サッカー連盟)から、ルールの改正などがあると直接通知が来るんです。 実際には、FIFAがフランス語で出した通達を日本サッカー連盟が日本語に訳して、各審判に通知するという形なのですが、いずれにしてもサッカーの審判は世界で一つにつながっているんです。「このあいだFIFAから通達が来たんだけど」なんて、なんかちょっとカッコいいですよね。 おそらく、他の球技もいろんな努力の末にいまのレベルにあると思いますので、その進化の過程を見れば、競技の発展にも役立つと思いますし、これから始まるパラリンピックもより楽しめるのではないかと思います。 ■◎山本修司(やまもと・しゅうじ) 1962年大分県別府市出身。86年に毎日新聞入社。東京本社社会部長・西部本社編集局長を経て、19年にはオリンピック・パラリンピック室長に就任。22年から西部本社代表、24年から毎日新聞出版・代表取締役社長。
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