“エクセルアート”も人気!世界最高齢のプログラマー・89歳の若宮正子さん
若宮さんは多彩な肩書きで呼ばれているが、「デジタルクリエイター」というのもそのひとつ。この日、纏っていたブラウスをはじめ、自らの著書のカバーまで。表計算ソフトのエクセルを使って図案を描く、若宮さん考案の“エクセルアート”を駆使している。 パソコンをはじめる目的が“誰かとお喋りをする事”にあったように、“エクセルアート”というアイディアも、日常の些細な気づきが発端。70代で母親の介護を終え、近所の主婦たちに頼まれて自宅でシニア向けパソコンサロンを開いていた頃のことだ。 パソコンの利便性を理解してもらう目的でエクセルの使い方を教示。その際に数式の計算ではなく、セルに色をつけて図案を描くことを思いついたという。「シニア世代の女性は編み物や手芸を趣味としている人が多いでしょ。小さなマス目に色をつけてオリジナルの模様を作れば楽しんでもらえると閃いて」。それを“エクセルアート”と名づけたところ、話題が数珠繋ぎとなり、米国マイクロソフト社からも称賛の声が届くほどに。 多忙な日々を送る若宮さんに現在の暮らしのルーティンを伺うと、「40年以上銀行勤めをしていたせいか、さぞ規則正しい生活を送っていると思われがちですが起床時間も睡眠時間もバラバラ。元気の秘訣は、規則正しく過ごさないこと(笑)。自分がご機嫌であることが一番です」ときっぱり。 インタビューを終え、ランチを共にすると「あら、ポルケッタって何かしら」とメニューを眺めていたかと思うと、次の瞬間にはiPhoneで検索。ハーブで香り付けした、そのペルージャの伝統料理が若宮さんの自宅の食卓に並ぶ日も、そう遠くはないように思えた。 若宮正子 1935年生まれ、東京都出身。東京教育大学附属高等学校(現・筑波大学附属高等学校)卒業後、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に就職。1999年、シニア世代のコミュニティサイト「メロウ倶楽部」の創設に参画し、現在は副会長を務める。著書に『昨日までと違う自分になる』(KADOKAWA)、『88歳、しあわせデジタル生活ーもっと仲良くなるヒント、教えます』(中央公論新社)ほか多数。 BY TAKAKO KABASAWA, SPECIAL THANKS BY MOKICHI KAMAKURA