「クマは河川を通ってくる」専門家が指摘 市街地にクマ出没 地域の“クマレンジャー”が児童を見守る【広島発】
都市部に出没しやすくなった要因
クマは、どうして人の多い市街地に現れたのだろうか。クマの生態に詳しい広島修道大学の奥田圭教授は、管理されていない河川が“クマの通り道”になっていると指摘する。 「2023年、山でクマの餌が少なくて都市部に下りてきてしまうクマがいました。都市部周辺で定着した可能性が考えられます。大きな要因としては河川敷などが管理されていない。草が生えてしまっている。河川をつたって下りてきてしまうケースがおおいにある。河川が動物が山から都市部へアクセスする経路になってしまっていると考えられます」 奥田教授は「動物の経路になるところをなくすこと」が一番にできる対策だという。 一方、クマが目撃された平良第一トンネルのすぐそばでは山を切り開く造成工事が行われている。近隣住民からは造成工事とクマの出没に関連があるのではないかという声もある。 「開発工事が始まってからイノシシやクマが出るんですよ。造成地のあたりにおったのが、うちの方に来たんじゃろうっていう話です。これまでクマなんか来たことないんです」 これに対し、廿日市市・経営企画部の高橋正樹次長は「環境影響評価について事前に調査をしています。クマの餌場である痕跡は確認されなかったということで、造成工事による影響は極めて少ないと予測したうえで事業に入っています」と関連の可能性を否定。奥田教授も専門家の観点から「関連性は薄い。クマの行動範囲は非常に広いので造成エリアだけで生息した可能性は低い」としたうえで、近年の時代背景をクマが現れやすくなった要因にあげた。 「人口減少や高齢化が進んだことによって住宅地でも人のいない所が多い。都市部を人が住んでいる場所として認識しなくなった可能性もある。都市部にクマがアクセスしやすい状況が人間側の都合で整えられてしまっている」 奥田教授は、もしクマに出会っても大声を出さず、クマを刺激しないように後ずさりして対処するよう注意を呼びかけている。
通学路に「クマレンジャー」児童見守る
クマの目撃情報を受けて臨時休校となっていた佐方小学校は6月3日から登校を再開した。保護者と一緒に集団で登校する児童や、保護者に車で送ってもらう児童の姿が見られた。 通学路では地域のボランティアや「クマレンジャー」という緑色の腕章を付けた人たちが、児童の登校を見守った。 「クマを追い払う花火を持ってきて何かあったときには追い払う。4日も5日も見守りに出てほしいと廿日市市から要請があった」 廿日市市では別の地区でもクマの目撃情報が寄せられていて、クマを感知するセンサーカメラや捕獲用のわなを取り付けるほか、パトロールを強化し警戒を続けている。 (テレビ新広島)
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