あふれるチャーシュー〝ちゃん系〟ラーメンの謎 都内を中心に展開するチェーン「N」跡地に次々開店 広報に尋ねても「わかりかねる」
【肉道場入門!】絶品必食編 〝ちゃん系〟と言われるラーメン店がある。東京・神田ガード下で創業した「ちえちゃんラーメン」など、この数年で急激に勢力を拡大した「◯◯ちゃん」と名前のつくラーメン店の話である。 【画像】ラーメン激戦区・東京駅周辺で人気ナンバー1に輝いたお店は? どこの店でも切りたてチャーシューが売り物で、チャーシュー麺の注文には丼に切りたてを山のように盛ってくれる。 その他、スープはこぼれそうなくらい丼の縁までなみなみ注がれ、麺は喉越しのいい高加水の中太平打ちストレート。ラーメンだけでなく麺量ほぼ2倍の「もり中華」というつけ麺メニューもあるのが共通項だ。 2022年には「ちゃんのれん組合」という互助組織も設立された――のだが、このラーメン店には少々謎がある。 実はこの〝ちゃん系〟、都内を中心に展開される、ラーメンチェーン「N」(イニシャル)の店舗跡地に次々開店していた。当初は「何が起きた?」「新業態?」という噂が立つ程度だったが、徐々に謎は大きくなっていった。 ラーメンメディアの人々が「N」の広報に尋ねても「基本的につながりはない」「わかりかねる」と否定されるという。 しかし、そのオーラはどんどん濃くなっていった。ちゃんのれん組合のオブザーバーにはチェーン「N」直系の製麺所が入っている。そればかりか組合加盟店のなかにはチェーンの社長の名前を冠した店もある。 それでも「N」の関係者は一様に否定したりはぐらかしたり。気持ちとしてはつい真実を追い求めたくなるが、状況証拠が揃いすぎていて、かえって追求するのが無粋な気持ちにすらなってくる。 すべての情報がつまびらかになる現代において、謎は謎のままに。そんなおおらかな気持ちで、目の前の丼と向き合えばいいのかもしれない。 塩気のきりっと立った醤油スープに浸かった醤油味の効いたほろほろチャーシューは、チャーシュー麺の具とするだけでは麺にあまる。ライスを別注しておいて、山と盛られたほろほろチャーシュー(推定150グラム)を飯上にどーんと乗せれば、即席チャーシュー丼のできあがり。たまに味わうきっちり塩気を存分に楽しみたい。 ■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。