京都の三条・四条界隈、賑やかな街なかにひっそりと存在する異界の入り口。
【四条西洞院】化粧水(伝小野小町別荘跡)
実は、平安美女伝説をめぐる不穏な痕跡!? 京都神田明神のすぐ近く、大通りに密やかに置かれている石碑がある。化粧水と刻まれ、傍には小野小町の別荘跡と記された木札が立てられており、あの美女が化粧に使った井戸の跡なのだろうか? と思い巡らせるが……。
「正しくは和泉式部の史跡で、現在は化粧となっているけれど実は化生(化物)の意味ではないか、と。和泉式部には、自分の捨てた子が美僧となっていたのを知らず一夜を共にして地獄の炎に焼かれた、という話があるんです」 ●四条西洞院交差点付近 阪急「烏丸」駅徒歩4分、市営地下鉄「四条」駅徒歩5分。
古くから伝わる風習が今も街中には生きている。
民家の屋根や軒先にふと目をやると「こんなところに!?」という発見があるのもこの街ならでは。 「膏薬図子を出たところに、江戸期創業の呉服商で今は一般公開もされている杉本家住宅があるのですが、12月に通りかかった際に軒下に見つけたのが、逆さ札。石川五右衛門が処刑された日付を紙に書いて逆さにして貼っておくと泥棒除けになるというんです。この辺りは古い一角なのでまだそうした風習が残っているんですね」 マンションを建てる際に壁の下のコンクリートブロックが東北の方向だけ1カ所切られていることがあるという。これも古くから行われてきた鬼門封じの風習。
撮影・福森公博 構成&文・中條裕子
『クロワッサン』1113号より
クロワッサン オンライン