まるで迷路 大阪地下街の魅力とは?
一説では地下街誕生の地とも言われる大阪。多くの地下街を抱え、特に地下街が密集することから「地下帝国」とも呼ばれる梅田周辺や、天井がないというユニークな地下街について管理会社の方に話を聞きました。大阪地下街のうんちくと魅力をお伝えします。
大阪の地下街誕生のきっかけは
大阪市内で5つの地下街を管理する大阪地下街株式会社によると、そのきっかけは昭和初期に大阪市中央区高麗橋の三越百貨店前に作られた地下道(後に閉鎖)だったそうです。地下道を作った理由は、車などの交通量が多く交通渋滞が社会問題となったため、人が安全に歩けるようにと大阪市が設置を決めたからです。 ただ、当時、地下道を掘るには予算が足りなかったそうです。そこで、大阪市はその予算不足を解消するために地下道のテナントを募集。テナントを入れた本格的な地下街「ナンバ地下センター(現NAMBAなんなん)」が昭和32年に完成しました。56年たった現在も営業している老舗飲食店なども多く、マスコミなどで取り上げられることも多いそうです。
見上げれば天井なし、本当に地下街?
大阪市内には、見上げれば天井がないユニークな地下街も存在します。大阪市都島区の「コムズガーデン」は、なんと全体が吹き抜けになっており、地下2階にまで日光が当たるという「本当に地下街?」と思うような作りです。 利用者の男性に「この地下街をよく使いますか」と聞くと「ここが地下街とは思っていませんでした」という答えもありました。この地下街は、一般道路や地面より低い位置に床面を掘り下げる「サンクンガーデン(沈床庭園)」と呼ばれる手法で作ったそうです。この開放的な空間には、ファミリーレストラン、居酒屋、美容室、書店などがズラリ。夜にもなると、吹き抜けの空間で食事や会話を楽しむ人の声が聞こえてくる、にぎやかな場所になるそうです。
迷いやすい地下街、移動攻略法は
同社によると、管轄する地下街のうち、大阪市北区の「ホワイティうめだ」が1日推定40万人と一番の来街者数を誇っているそうです。同じように大阪市の事業の一環として作られた隣接する2つの地下街「ディアモール大阪」「ドージマ地下センター」とは自由に行き来ができるようにつながっています。3つの地下街はJR、阪急、阪神、大阪市営地下鉄といった鉄道の各駅に移動できることが魅力のひとつ。ビジネスマンにとっても活用機会の多い地下街です。 しかし、便利な反面、困ったことも。地形が東から西へと傾斜しているため、地下街の深さが少しずつ異なり、移動しにくい場所が生じています。通路が縦に斜めにまじりあう複雑な構造となっているため、迷う人が多いそうです。梅田の地下街はその分かりにくさから、「梅田地下帝国」と呼ばれることもあるそう。そこで、迷わずスムーズに移動する手段は? 梅田の各地下街では、そうしたわかりにくさを少しでも解消しようと案内所を設置しているほか、QRコードを読み込むと梅田地下街の案内地図が表示される「うめちかナビ」、階段の整理番号や案内表示を3つの地下街で統一するなどの対策を施しているとか。これらのアイテムが迷い防止に役立っているのかもしれません。 ただ、案内所の女性に話を聞くと「基本的には案内板を見てくださいね」と笑顔で言われました。
地下街あるき、新たな発見はいかが?
交通渋滞から人の安全を守るため地下街が設置されたこと、本格的な地下街の原点が大阪だという説があったこと、天井のない斬新な空間を持つ地下街があることなど様々な発見がありました。 しかし、まだまだ魅力はいっぱいありそうな予感です。普段利用する地下街、皆さんもいろんな視点で歩き、新たな発見をしてみませんか。 (この原稿は、大阪市天王寺区とヤフーで実施した中高生インターン事業に参加した大阪星光学院高等学校の北林勇気さんが取材・執筆しました)