全国制覇から突如苦戦、強豪校に名乗りも…取り巻く環境“激変”「もうまぐれはない」
全国優勝から1年半…手にした「常にプランB、Cを持っている」状況
その采配はずばり的中した。立ち上がり6分にセットプレーからインターハイ決勝で2ゴールを叩き出した柴田が先制点を挙げると、鹿島学園の鋭いカウンターに対してもインターハイ優勝メンバーであるGK重松陽を軸に細かいラインコントロールと、両サイドハーフの献身的なプレスバックなどで牙城を築き続けた。 そして後半12分には竹花が左からカットインすると、「夏以降、萬場監督に左足のミドルを徹底して磨けと言われてやり続けていた」と口にしたように、右足で打つと見せかけて切り返し、DF2人の逆を突いてから左足一閃。これがゴールに突き刺さり、貴重な追加点を叩き出した。直後にポストプレーヤーの保科愛斗を投入し、柴田と竹花をインサイドハーフにしてブロックを作り、さらに終盤には5バックに切り替えて堅守を貫徹。2-0の完封勝利を手にした。 「もう少しボールの主導権を握ることができれば3バックも用意していました。自分たちの力と相手の力を掛け合わせて、いかにオンタイムで変化させていけるか。相手が我々の対策を本気でしてきた時に、それを凌駕する頭の回転のスピードと、攻守のスピード、そしてクオリティーを出していくことを意識しています」(萬場監督)。 全国優勝から1年半、彼らが手にしたのは、常にプランB、Cを持っていることと、そのカードを切るのか切らないのか、切ってからさらにそれを戻すのか戻さないのか。その判断をスタッフが握り、かつ選手たちもベンチワークを理解しながら対応する組織力にある。そのマネジメントの中で竹花のように個々が課題を見つけて研鑽に取り組む。 「少しは精度が高くなったなと思ってもらえるようなサッカーができれば、全国でもやれると思っています」 胸に刻まれた星をもう1つ増やすべく。明秀日立は自分たちのスタイルをブラさずに冬の大舞台に挑む。
FOOTBALL ZONE編集部