沖縄・嘉手納基地に偵察ドローン「リーパー」を配備、対中情報戦と「日本の防衛支援」
中国軍機が第一列島線周辺の空域で不審な飛行を繰り返していることから「太平洋の要石」沖縄に複数の監視・偵察用ドローンを追加配備することに
米海兵隊は、戦略的に重要な日本の沖縄などに複数の偵察ドローンを配備した(具体的な数は不明)。 【動画】攻撃型にもなる偵察ドローン「リーパー」 8月26日に報じられたところによれば、沖縄県にある米軍嘉手納基地に、米海兵隊の訓練支援のためとして無人偵察機MQ9A「リーパー」が配備された。 米海兵隊・第一海兵航空団の報道官は米軍機関紙「スターズ・アンド・ストライプス」に対して、これで日本の防衛を支援する能力が向上すると述べた。 リーパーは中高度・長時間滑空型の無人機(ドローン)で、海兵空地任務部隊に配属されている。翼幅は約20メートル、全長約11メートルで最大滑空時間は27時間。遠隔操縦または完全自律飛行で運用される。 長距離飛行能力を活用した情報収集や偵察能力を備え、紛争環境下では海兵隊の沿海域作戦を支援する。海兵隊は紛争区域内で任務を遂行するために、無人機能力を拡大・強化する必要があると結論づけている。 沖縄県は東シナ海とフィリピン海の間に位置しており、中国が勢力圏を確保するため独自に設定した軍事的防衛ラインの一つで、九州沖から沖縄、台湾、フィリピンを結び南シナ海に至る「第一列島線」の上にある。米軍による一連の中国封じ込め戦略は、中国の軍事活動をこの防衛ライン内に制限することを目標としている。
武装可能なリーパーも
MQ9Aリーパーの配備は、中国の軍用機が複数回にわたって第一列島線周辺で作戦を展開したことを受けて行われた。8月23日には、台湾と日本の最西端の島・与那国島の間の幅約110キロ弱の航路「与那国ギャップ」の上空を中国の無人機2機が通過した。 報道によれば、リーパーは米海兵隊第三無人航空機飛行隊が運用。ハワイを拠点とする同飛行隊は2008年に活動を開始して以降、さまざまなドローンを運用しており、2023年8月にはリーパーの初期運用能力を獲得した。 日本の防衛省の沖縄防衛局は沖縄の各自治体に対して、米海兵隊のドローン最大6機が嘉手納基地に配備され、情報収集や監視・偵察活動を行うと通達した。一時的な配備であり、展開期間は1年だと「スターズ・アンド・ストライプス」は報じている。 米海兵隊が26日に公開した写真には、8月13日に米空軍の輸送機によって嘉手納基地にリーパーが運び込まれる様子が映っている。第一海兵航空団の報道官は、運用上の安全への配慮から、配備されたドローンの数を明かしていない。 嘉手納基地には2023年10月以降、このほかに既に10機のドローンが配置されている。このうち8機は米空軍のリーパーで、残り2機は米海軍のMQ4C「トライトン」だ。トライトンの運用期間は10月までの予定になっている。 米空軍のリーパーは米海兵隊のものとは異なり、ミサイルや爆弾を搭載することが可能だ。 嘉手納は「太平洋の要石」と呼ばれ、米空軍が東アジアで空軍力を投射する上での重要拠点だ。7月には米国防総省が、嘉手納基地に米空軍のF15EX「イーグルⅡ」戦闘機36機を配備し、これまで配備されていたF15C/D「イーグル」と置き換えることを発表していた。
ライアン・チャン