ムクドリ撃退作戦再び 高周波音発生装置を設置 JR加古川駅南の商店街 市、11月末まで実証実験
ムクドリの大群による騒音やふん害に悩む兵庫県のJR加古川駅南のベルデモール商店街で、6月中旬から実証実験が始まった。鳥が嫌がる高周波音を出す装置「バードソニック」を使い、ムクドリが集まらないようにすることができるかを検証。同様の実証実験は昨年12月に続き2回目で、今回は約半年間にわたる。軍配が上がるのは人か、それとも鳥か。(宮崎真彦) 【写真】巨大な群れになるムクドリ 6月初旬の夕方。商店街入り口のケヤキの木にムクドリの大群が集まり、次々と木の中に潜り込んだ。けたたましい鳴き声を上げ、木の下の通路が白いふんで覆われていく。商店街で働く男性は「前日朝に高圧洗浄機とブラシできれいにしたのに…」と肩を落とした。 ◇ 兵庫県加古川市は当初、7月から実証実験を予定していた。ところが今年は例年より早い5月末にムクドリの大群が飛来し、急きょ予定を前倒しした。鳥の行動に詳しい県立人と自然の博物館(同県三田市)の太田菜央研究員によると、一般的に3~7月は繁殖期のため群れで行動することはないそうで、気候や餌の条件により繁殖期が早く終わったことが、飛来が早まった一因かもしれないという。 今回使うバードソニックは山梨県の自動車用品メーカーが開発。10~30キロヘルツの音波を150~200メートル程度の範囲に出す。関西、大阪(伊丹)、神戸の3空港で、航空機と鳥の衝突回避策としても試験運用されている。 前回同様、岡山理科大の辻維周(まさちか)教授(道路生態学)が協力する。加古川市によると、昨年12月の実証実験は約2週間実施し、約10日でケヤキに止まらなくなり「一定の効果はあった」としている。ただ「ムクドリの移動期と重なったから」「落葉の季節だった」といった要因も考えられるという。 ◇ 6月11日の夕方、ベルデモール商店街そばのカピル21ビルの2階デッキで、辻教授や市職員らが装置を約30分かけて取り付けた。前回は商店街で高周波の音を不快に感じた人がいたため、今回はスピーカーの向きを変えるなど配慮した。 ムクドリが姿を見せ始める午後6時から8時ごろまで連日運用。微調整を加えながら、流す時間や場所を変えることも検討する。実験は11月末までの予定だ。 辻教授は「完全にいなくなることは難しいが、8割いなくなれば(装置の)効果があったといえる。この第2ラウンドで具体的な成果が出れば」と話す。商店主らは「装置を付けてから鳥の寄りつき方が減ったように感じる。ただ、高周波を止めた深夜に戻ってきたりしているようだ。今後の成果を注視したい」と期待を寄せる。 【ムクドリ】 ムクドリ科で全長24センチほど。国内全域に分布する。同じ地域に一年中生息して繁殖する「留鳥(りゅうちょう)」で、住宅地や農地などでよく見られる。雑食性で小さな虫や木の実などを食べる。繁殖期が終わると群れで行動する。