和泊の介護老人保健施設にICT導入補助金全額返還命令 鹿児島県「介護ソフト導入は虚偽」と判断 鹿児島市議が代表務める納入業者含め刑事告訴の検討も
鹿児島県は8日、県の介護サービス事業所ICT導入支援事業の補助金260万円を不正に受け取ったとして、和泊町の医療法人慈心会に対し、全額返還を命じたと発表した。鹿児島市の業者から介護ソフトを導入したと虚偽の報告をしたと判断し、7日付で交付決定を取り消した。約100万円の加算金も求める。法人と業者については刑事告訴も含め対応を検討している。 【写真】和泊町の位置を地図で確認する
県高齢者生き生き推進課によると、慈心会は2021年3月、運営する介護老人保健施設「沖永良部寿恵苑」で介護記録などを一括管理するソフトを導入するとして補助金を申請。納品書や領収書の写しを添付した実績報告書を提出し、同年5月に補助金を受けた。 不正を指摘する情報提供があり、県は今年6月、抜き打ちで施設に立ち入り検査したところ、当該ソフトを入れたパソコンはなかった。ソフトの製造メーカーに照会して未導入を確認した県に対し、慈心会側は「購入はしたが、職員に廃棄され運用はできなかった」などと弁明した。同課は「説明に合理性がなく、悪質性も高い」とし、告訴も含めた対応も検討している。 理事長は「不正の意図はなかったが、地域に衝撃を与え、ご迷惑をおかけした。書類が届き次第、返還作業を進める」と述べた。 慈心会が購入したとする業者は、鹿児島市議が代表を務めるソフトウエア販売会社(同市)。市議は8日、取材に対し「ソフトは納品した。虚偽の納品書や領収書は提出していない」と話した。
今回の事態を受け、県は交付済みの20~23年度の同事業について再確認する方針。今後の申請では、ソフトのライセンスキーの提出などを求める。
南日本新聞 | 鹿児島
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