崖下に完成した住民悲願の「半過洞門」 長野県の千曲川の水害と闘ってきた廃道を巡る旅
ミキの昴生と亜生がMCを務める、全国の道に特化したバラエティ番組『道との遭遇』。今回は、全国800か所以上の道を巡ってきた道マニア歴19年の石井あつこさんが、長野県にある千曲川の水害と闘ってきた"廃道"を巡ります。※許可を得て撮影しています。廃道は危険ですのでむやみに立ち入らないでください。 【動画】中央部分で二つに分割…!?奇妙な構造の隧道は【6分26秒~】
崖下の「半過洞門」と明治時代の「影通隧道」
石井さんと一緒に旅をするのは、ライターのサムソン高橋さん。2人が訪れたのは、上田市。 (道マニア・石井あつこさん) 「水害と切っても切れない『千曲川(ちくまがわ)』と闘ってきた道の歴史を訪ねたい」 新潟県では「信濃川」、長野県では「千曲川」と呼ばれる、全長367kmの日本一長い川。長野県は地形が複雑急峻(きゅうしゅん)のため、洪水や土砂災害の影響を受けやすく、昔から住民たちは「千曲川」の水害に悩まされていました。そんな「千曲川」と密接に関係した廃道の中でも、石井さんが一目惚れしたという廃道へ向かいます。 国道18号の近くを流れる「千曲川」の左岸には、県の天然記念物に指定されている断崖「半過岩鼻(はんがいわばな)」が存在。そのすぐ脇には、かつて使われていた「半過洞門」があります。 「千曲川」の氾濫に悩まされながらも、住民にとって悲願だった道をこの険しい断崖に開通させました。「半過洞門」の近くには完成記念の石碑があり、中でも「絶叫懇請」と書かれた言葉に石井さんは心を打たれた様子。 (道マニア・石井あつこさん) 「道の開通がどれだけ悲願だったのかが分かる」 「半過洞門」を進むと県道に合流しますが、その先には、さらに古い時代に使われていた廃道があるそう。その場所に行ってみると、明治42年竣工の「影通(かげどおり)隧道」が出現!荒々しい素掘りの隧道で、昭和8年まで使われていました。 近くの集落に電気が通る前、村落で唯一電気がつく場所だったこの隧道で、夜な夜な人が集まって話をしたり演奏したりしていたと石井さんは言います。