「賃金上がっても年収は一緒」働きたいのに働けない…「103万円の壁」の行方は 北海道
STVニュース北海道
衆院選で躍進した国民民主党が看板政策に掲げた年収103万円の壁の撤廃。 近く与党が協議を始める見通しです。 「103万円の壁」見直しの行方はどうなるのか。 北海道内のパート従業員らも注目しています。 (利尻屋みのや 籠島映未さん)「どうぞー、昆布屋でございます。見ていきませんか」 小樽市内の土産物店です。 パート従業員は働きたいのに働けないジレンマを抱えているといいます。 (利尻屋みのや 籠島映未さん)「どんどん賃金は上がっていくのはうれしいことですけど、もらっている金額は一緒で、働ける時間が少なくなってきている」 働く時間を制限するその理由は、パートやアルバイトに立ちはだかる年収「103万円の壁」。 年収が103万円を超えると、超えた分が所得税の課税対象になります。 また、学生などが親の扶養に入っていれば扶養から外れるため、親は扶養控除が適用されず、手取りが減ってしまうのです。 札幌市内のスーパーです。 レジ打ちや商品の陳列など業務の多くをパート従業員らが担っていますが、年末に向かういまの時期は働き手不足に直面するといいます。 (キテネ食品館 中塚誠社長)「扶養の部分、所得制限の部分が超えてしまうので、10月後半から週2で出てもらっているところを『週1にしてください』とお願いをされるケースが多くて」 年収「103万円の壁」の影響で、年末になると税負担を避けようと「働き控え」が発生するというのです。 (キテネ食品館 中塚誠社長)「収入オーバーとかそういった形になると、イコール出勤できませんというのと同じ意味」 そうしたなか国民民主党が掲げているのが、103万円の壁を見直す政策です。 現行の非課税枠を最低賃金の上昇率に合わせた178万円に引き上げ、手取りを増やすことで経済活性化につなげるとしています。 しかし、パート従業員からは懸念の声も。 (パート従業員)「178万円になった方がもっとお金を稼げると思います。ただ国の税収が減るという話があるので一概には言えない」 避けられないのが税収への影響です。 国と地方で7兆円を超える税収減が試算されているからです。 (ファイナンシャルプランナー 加藤桂子さん)「国にとっては税収が少なくなることで今後どうなるか、できることが減ってくることもあるので。逆にどこを減らすのかという話にもなってくる。単純には喜べない」 国民民主党が公約で掲げた「103万円の壁」撤廃については、自民党が政策協議を始めることで合意していて、国民民主党との間でどう折り合いをつけるのか注目されています。