現在「遺族年金」を受給しながらパートで”月5万円”稼いでいます。これ以上パート収入が増えると「遺族年金」の手取り額は変わりますか?
遺族年金を受け取る際、収入があると手取り額に影響があると考えている方もいるでしょう。しかし、遺族年金は基本的に収入があっても手取り額に影響しません。 ただし、遺族年金に関係なく収入が増えれば社会保険料や納税額も変動します。今までよりも多く働く予定の場合は、これまで課税されていなかった税金が課税されるケースがあるため、確認が必要です。 今回は、遺族年金と収入の関係、パート収入が増えると税額がどれだけ変動するかなどについてご紹介します。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
遺族年金は収入が増えても問題なく受け取れる?
基本的に、遺族年金を受給する遺族の所得制限はありません。そのため、働きながらでも受給条件を満たしていれば受け取れます。 遺族年金には「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があり、それぞれの条件は表1の通りです。 表1
出典:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」を基に筆者作成 なお、国税庁によれば、遺族年金はどちらも非課税のため、受給していても所得税や住民税、健康保険料の金額に影響はありません。ただし、亡くなった本人に生計を維持されていた遺族が対象のため、表1に該当する遺族でも所得が高かったり別居していたりする場合は、そもそも受け取れない可能性があります。 さらに、遺族年金は一定条件を満たすと支給停止されるケースもあるため、注意が必要です。 ■支給停止になる条件は? 日本年金機構によると、遺族基礎年金の受給対象となる子どもとは18歳になった年度の3月31日までの方か、20歳未満かつ障害年金の障害等級1級もしくは2級の状態にある方を指します。そのため、子どもが障害年金の障害等級1級もしくは2級の状態にない場合は、18歳になってから3月31日を超えた時点で遺族基礎年金の条件を満たさなくなるため、支給停止の対象です。 さらに、遺族厚生年金を老齢厚生年金の受給権を有する方が受け取る場合、老齢厚生年金は全額支給となり、老齢厚生年金に相当する額の遺族厚生年金は支給停止となります。例えば、遺族厚生年金が20万円、老齢厚生年金が15万円の場合、遺族厚生年金は15万円が支給停止となり5万円を受け取れます。 老齢厚生年金は働いて厚生年金に加入していた期間および収入によって決まる仕組みです。そのため、収入が増えると老齢厚生年金額が増加し、結果として遺族厚生年金が一部、あるいは全額支給停止になる可能性もあります。