〈青色申告初心者向け〉「銀行の借入金、印紙代等が差し引かれたが…」「帳簿の現金記録、実際の金額と合わない!」…会計処理での対応策【税理士が解説】
青色申告初心者が会計処理を行う場合、しばしばつまずきがちとなるポイントがあります。今回は、銀行の借入金で引かれた印紙代等の処理と、帳簿の現金記録と実際の現金の金額がずれた場合の対応策を見ていきます。※本記事は小林敬幸氏の著書『改訂2版 3日でマスター! 個人事業主・フリーランスのための会計ソフトでらくらく青色申告』(あさ出版)より抜粋・再編集したものです。 職業別「平均年収」ランキング…<令和4年賃金構造基本統計調査>
銀行からお金を借り入れたときの入力方法
◆印紙代や信用保証料は差し引かれて入金される 銀行からお金を借り入れると、借入時に貼布した印紙代や信用保証料が差し引かれて入金されます。 この場合の入力は預金出納帳を使い、次のような手順で進めましょう。 (1)預金出納帳で、実際の入金額を入力。 (2)預金出納帳で(1)の入力箇所を訂正する。借入金の残高を「借入額」に訂正し、印紙代・信用保証料を、入力する(入力後、預金出納帳の残高が変わっていないことを確認)。 (3)入力後、残高試算表で「長期借入金」の残高が金融機関からの借入額と一致することを確認する。 具体的な入力例は図表1~2に記載してありますので、ご参照ください。 ◆銀行からお金を借り入れ、印紙代や信用保証料を差し引かれていた場合 【例】 5月10日に、さいたま銀行より1,500万円を借り入れた。その際「印紙代2万円」、「信用保証料75万円」を差し引かれ、1,423万円が口座に入金された。 STEP 1:預金出納帳の入力 通帳を入力する際、いったん入金額を「長期借入金」で入力します(図表1)。 STEP 2:預金出納帳の訂正 借入金の金額を訂正し、印紙代と信用保証料を、下記のように入力します。入力後は、預金出納帳の残高が変わっていないことを確認します(図表1)。 STEP 3:残高の確認 残高試算表で、長期借入金の残高が1,500万円になっていることを確認します(図表2)。
「現金出納帳の残高」が「実際の残高」と合わなくなった!
◆個人の財布が関係するかどうかで処理のしかたが変わる 現金の入出金では、帳簿の記録と実際の金額が合わないことはしばしば出てきます。これは、途中で人の手が入るため、しかたのないことかもしれません。 そういった場合には、まず原因を確認します。原因は、「個人の財布が関わっているかどうか」で、大きく2つに分けることができます。 原因に応じて、それぞれの処理を行ってください。 (1)個人の財布からの補充や個人の財布への支払いのなかでの、記録もれや記録ミスの場合は、事業主勘定で処理。 (2)代金をもらいすぎたりお釣りを渡しすぎたり、個人の財布が関連しない記録もれや記録ミスの場合は、「雑収入」「雑損失」勘定で処理。 ◆現金出納帳の残高と実際の残高が合わないときの入力方法 ★個人の財布のやりとりに関する入力もれ 11月1日に個人の財布からレジスターに1万円補充したが、記録がもれていた場合(図表3) 11月1日に金庫から500円を個人の財布に入れたが、その記録がもれていた場合(図表4) ★代金のやりとりに関する入力もれ★ 2,000円札でお釣りを渡したつもりが、間違えて5,000円札を渡していた(差額は返してもらえない)場合(図表5) 4,000円のお釣りを渡すべきところ、3,000円しか渡さなかった(返そうとしても、お客様と連絡がつかない)場合(図表6) レジの現金と帳簿の現金残高が10円合わず、原因はおそらく紛失である場合(図表7) 小林 敬幸 税理士、ファイナンシャル・プランナー
小林 敬幸