【台湾ショップ探訪】ハイエンド・ヘッドホンの品揃えはNo.1。中正区のHiFi MUSIC(音悦音響)
台湾ヘッドホンショウの取材と合わせて、台北のオーディオ専門ショップをいくつか案内してもらったので紹介しよう。 HiFi MUSIC(音悦音響)は、台北市中正区にあるヘッドホン・イヤホンを中心に取り扱う専門店である。創業は1997年、今年で17年目を迎えるそうだ。創業当初はスピーカーを中心に、ゼンハイザーなどヘッドホンも部分的にスタートしたそうだが、市場の隆盛を受けてヘッドホン専門店へとチェンジ。ショップとしても大きく成長したという経緯があるそうだ。 オーナーはコウさんという女性で、ショップを立ち上げたのも彼女である。世界中どこもそうだが、男性が圧倒的に多いオーディオ市場の中で、さまざまな苦労を重ねながら店を大きくしてきたそうだ。現在はお店の運営は5人のスタッフに任せ、自分の時間も大切にしながら時々店にも顔を出し、市場動向などをチェックしているそうだ。 店の入り口側は、ソニーやオーディオテクニカのワイヤレスモデルなど、比較的カジュアルなアイテムが並ぶ。finalの有線イヤホンなども展示されており、日本メーカー製品の強さを改めて感じた。ほかにもゼンハイザーのHD800シリーズやFIIO、SOULなど日本でも馴染み深い製品が取り揃えられている。 そして奥には試聴のための個室が設けられており、静かな環境でじっくりヘッドホンの音質を確認することができる。 コウさんによると、創業当初からの大きなこだわりは、「さまざまな製品の組み合わせをしっかり確認できる環境を用意すること」。ヘッドホンやアンプ、プレーヤー、場合によってはリケーブルやアクセサリーなどを、どう組み合わせで自分好みの音質を追求していくかということにこそ、オーディオの趣味性の高さはある。そんなオーディオを楽しむためのマインドは世界中どこへ行っても変わらないのだと改めて感激する。 店の奥はスピーカーも再生できる広めの部屋で、取材時にはスフォルツァートのネットワークプレーヤーから静かに音楽が流れていた(後日スフォルツァート社長の小俣氏に尋ねると、“台湾は結構大きな市場の一つなんです”と教えてくれた)。試聴予約ももちろん可能で、あらかじめ聴きたい製品を伝えておけば、しっかり環境を整えておいてくれる。 反対側の棚には憧れのハイエンドヘッドホンがずらりと並ぶ。オーディオテクニカやfinal、フォステクスのハイエンドモデルはもちろん、HiFiMANにフォーカル、グラドも見える。ヘッドホンアンプについても、iFi audioやFerrum Audioといった比較的カジュアルなモデルから、エソテリックの「N-05XD」からdCSの「LINA」まで置かれている。 日本ではあまり見かけないが、VIVAはイタリアの真空管アンプブランドで、ヘッドホンアンプにも力を入れている。手前にある「Egoista 845」はヘッドホンアンプのトップモデルとなり、ノン・ネガティブフィードバック回路を採用したクラスAアンプ。「845」真空管を2本活用した贅沢な仕様も大きく目を引く。 また、スタックスも台湾で人気の高いヘッドホンブランドのひとつ。「きちんと除湿ケースにいれて、いつでもベストなコンディションで試聴いただけるように準備しています」と専門店ならではの細やかな配慮も見せる。 「ここまでの組み合わせが楽しめるお店は、台北でも他にはないと思いますよ」とコウさんも誇らしげに語る。台湾でもNo.1の品揃えを誇り、オーディオ愛に満ち溢れた専門ショップであった。
筑井真奈