デザインコンペ受賞率9割超!?…たった1分でアイデア生み出す“アイデアクリエイター”が「毎日実践していること」
アイデアを生み出し続けることは、特別なことじゃない
―本業のほか、イベント会社のCOOや個人としての活動もされていますね (石川)影響力のある人間になりたいという想いもありますし、自分のやりたいことを100%実現するためにはLINEヤフー以外でも活動の場を持ちたいと思ったためです。 また、学生時代もアルバイトではなく、デザインコンペの賞金でお金を稼ぐことが多かったです。気軽に稼げて自分のスキルも磨ける方法を探していた自分にはピッタリでした。デザインコンペはいいこと尽くめで、自分の作品も増えますし、自分のアイデアが商品化されるかもしれませんし、賞金ももらえるし、審査員からコメントももらえる。だから積極的に応募していきました。 コンペへの応募回数が増えるにしたがって、アイデアのストックも溜まっていくのですが、それがだれの目にも触れないのはもったいない、自分の中で抱えているままでいいのかというもどかしさに駆られるようになりました。クリエイターは自分のアイデアが盗まれるかもしれないと世の中に発信しない人もいますが、僕の場合は逆で、自分のアイデアを発信しなかった結果、後悔するくらいならどんどん出していきたいと思い、社会人になってTwitter(現:X)のアカウントを作ったというわけです。 副業も認められているので社会人になってからもデザインコンペに出し続け、そして生まれたアイデアを、ポートフォリオを作るような感覚でTwitterに投稿していきました。それがあるとき注目されてフォロワーも増えたことで、YouTubeも始め、本も書かせてもらうようになったという経緯です。もちろん、こうした経験はLINEヤフーでの仕事にも還元できているので、相乗効果を生み出していると思います。 それに、様々な活動を通じて社内外を問わず数多くの方に出会うことができます。中にはこれまで会ったことのなかったような方もいて、それも自分にとってプラスになっていますね。 ―それだけ多くの活動をされていて、一日どんな風に過ごされているのでしょう (石川)朝9時くらいにメールチェックをして、会社からデザインの依頼があれば取り組んでいます。業務が終わり次第、気分転換がてらに個人の活動も少しやったり、土日は個人の活動に集中したり・・・というように、本業と副業を行ったり来たりして気分転換しています。また、自宅や会社など仕事をする場所も変えることで、一日の集中時間を持続させることもできています。 ―クリエイターの方の中には、なかなかアイデアが生まれないなどスランプに陥る方もいると思います (石川)スランプに陥ったことはありません。アイデアが生まれない、生むことが苦しいというのは、「生み出さなければいけない」と思うからそうなるのだと思っています。僕は「生みだしたい」と思っているので、そうならないのだと思います。会社などから求められていないときにもアイデアを生み出したいので、毎日5案くらいは生まれているのです。そしてそれを引き出しにためておいて、求められたときに出していくことをしています。 ―求められていないのにアイデアを出せるのは驚きです (石川)これは完全に習慣化しているからできることです。子どものころから身の回りの物を見ては「なんでこんな形をしているのだろう」「素材を変えたらもっと頑丈になるのでは」とか思っていました。大人から「これはこういうものなんだ」と言われても、つい「なんで?」と聞き返してしまう、ませた子どもでした(笑)。でも、そうした子どものときの意識が大人になっても引き継がれていて、すべてのものが完成されていないように映っているんです。 例えば、一般的に鉛筆は木でできた丸い形状と思う人が多いと思いますし、そこに何も疑問はないと思います。でも、本当に木が良いのか、もっと別の形でも良いんじゃないかと考えることで、反射的に1分くらいでアイデアが出てくるのです。 困ったことに、そんな風になっているので日常雑貨を販売する店舗には行けなくなってしまいました。陳列されているものが目に入ると「もっとこうしたい」と思ってしまうので、どうしても売り場を通らないといけない時には商品を見ないようにして歩いています(笑)。 ただ、この考え方やものの捉え方は決して難しくはなく、クリエイターだけではなく誰でも身に着けることができるし、その結果、もっと生活がアップデートされるものだと思っています。それを伝えたい想いもあって、アイデアクリエイターとしての個人活動を行っている面もあります。自分のアイデアを見てもらいたいだけではなく、この感覚を知ってもらいたいんです。