一体誰が?中日応援歌「サウスポー」自粛問題に賛否
だが、それらの説明を球団サイドが公式にアナウンスしていなかったことも手伝って、ネット上では、「サウスポー」の廃止と早合点して、「あの応援歌が好きでした。中止の理由が納得いきません」と惜しむ声も少なくなかった。 そして「お前」を不適切フレーズと判断したことに対しての批判、困惑の意見もあった。 「(そんなことを気にする)今の社会は窮屈」、「世知辛い世の中」、「昨今の言葉狩りは行き過ぎだ」、「それを言えば応援歌は、ほぼ不適切になる」、「こんなことが問題になるなんて」、「過剰反応だと思う」などという批判のコメントだ。 一方、「応援される側が嫌なら止めるしかない。応援しても逆効果」と理解を示す声もあり、中には「応援歌の『狙い撃ち』の復活を!」というユニークなものまであった。 SNS上では「そもそも『お前』は『御前』であり、むしろ丁寧な呼び方だ」と「お前」の語源に関する指摘もあった。 実は、その指摘は正しく、複数の語源辞典によると、「お前」は、古くは「御前様」として使われ、神仏や貴人を間接的に敬う言葉だったり、高官や高僧を使用人や信者が敬う代名詞だった。それが江戸期には、目の前の「貴人」に対する最高の敬意を示す言葉や、大名や旗本の奥方を示す言葉となり、江戸の後期には、庶民の妻が主人を「おまえさん」と呼ぶ形となった。さらに時代と共にどんどん敬意の意味が薄れ、明治以降は同等もしくは目下の者を指す言葉になった。こういう時代と共に敬意が下がることを「敬意逓減の法則」と呼ぶそうだ。中日の球団社長も「元々『お前』は『御前様』が語源なんだよ」という意見を出したというが、現在の使い様では、与田監督が指摘するように選手を「お前」と呼ぶことに尊敬の意は含まれておらず、決して好ましい言葉ではない。 前出の球団関係者も「応援歌に『お前』とあるのは、やはり品がない。サウスポーという元気の出る応援歌を生かす形で、もう少し違った品のある言葉に直してもらえればありがたい」と言う。