アルトマン氏支援の米自動運転新興企業、スズキと車両製造で協業検討
(ブルームバーグ): 米オープンAIの最高経営責任者(CEO)、サム・アルトマン氏らが支援する米自動運転スタートアップのグライドウェイズは、自社サービスで用いる車両の製造でスズキとの提携の検討を始めた。軽自動車を主力とするスズキの知見を生かす狙いだ。
グライドウェイズ創業者のマーク・シーガー氏はインタビューで、同社の自動運転電気自動車(EV)「グライドカー」の製造での協業の可能性について、小型で低コストの車両設計に強みを持つスズキと議論中だと明かした。「小よく大を制す」という考えをスズキは持っており、「我々もそう信じている」とシーガー氏は話す。
またスズキに加え、三井化学、ENEOSホールディングスなどから2000万ドル(約31億円)を調達した。グライドウェイズはフィリピンやインドネシアなど、交通渋滞が深刻な地域での進出を視野に入れる。数週間以内に日本にアジア本部を設立する予定だ。日本企業3社からの資金調達や協業を、アジア展開の足がかりとする。
三井化学とエネオスHDの広報担当者はグライドウェイズへの投資について認めた。スズキの担当者はコメントを控えた。
シーガー氏は「中東やアジア太平洋地域など、世界への起点として、我々は日本を位置付けている」とし、「品質、安全性、そして市場での存在感には、日本のパートナーが欠かせない」と話した。
カリフォルニア州を拠点とするグライドウェイズは2016年設立で、人工知能(AI)を使って4人乗りの車両を専用道上で配車するサービスの開発を進める。パーソナル・ラピッド・トランジット(PRT)と呼ばれる個人輸送システムの一つで、車両を小型にすることで鉄道に比べて建設費と運営コストを下げられるというが、現在はまだシステム開発や建設の段階にある。
グライドウェイズの開発するシステムは、各車両が乗車地から目的地までノンストップで運行する仕組みで、他の自動車道や歩道、線路などから独立した専用レーンを必要とし、一定の設備投資は必要になる。同州サンノゼ市で28年にも運営開始を目指している。