三重・松阪の中川さんが最高賞 秋田犬、世界大会で殿堂入り
米国やポーランドなど各国から参加
三重県松阪市田原町の不動産会社経営・中川雄斗さん(37)の秋田犬「三重の大地」号(雄、5歳)がこのほど、群馬県高崎市で開催された秋田犬展覧会の世界大会「第150回本部展」(公益社団法人秋田犬保存会主催)の成犬A組(4歳以上)雄の部で、特優1席と「内閣総理大臣賞」、さらに大会で最高賞とされる「秋保名誉章」に選ばれ、殿堂入りを果たした。
虎毛で骨格立派
秋田犬は、秋田県原産の日本犬の一種で国の天然記念物。同保存会は1927(昭和2)年に、戦前の闘犬ブームに伴う交配で秋田の土着犬「大館(おおだて)犬」(当時)の雑種化に危機感を持った当時の大館町長の呼び掛けで設立。38(同13)年には将来に残すべき秋田犬の姿を定めた「秋田犬標準」を制定し、展覧会を開くなどして種の保存に努めている。 本部展は、大館市と各支部の持ち回りで年に2回開催。審査は▶幼犬B(6~8カ月未満)▶同A(8~10カ月未満)▶若犬(10カ月~1歳半未満)▶壮犬(1歳半~2歳半未満)▶成犬B(2歳半~4歳未満)▶同A(4歳以上)――の雌雄別の12部門で、体高、毛色、骨格など約70項目で審査した。 大黒田町出身の中川さんは祖父の影響で小学4年から秋田犬を飼い始めて25年以上になり「犬は人生に欠かせない存在」と語る。季節や体調に応じて自身でブレンドした食事や、1日2、3時間の散歩と立ち込み(静止ポーズ)の練習は欠かさない。 「三重の大地」号は自宅前の犬舎で生まれ、2019(令和元)年の第141回の特優2席で秋保名誉章に選ばれた犬を父に持つ「直(じか)作出犬」。「虎毛で、一般の秋田犬よりも一回り大きく、骨格なども立派で全て良かった。その分、運動や食事などに気を使って育て上げ、自信を持って臨んだ」と振り返る。 今回は日本や米国、ポーランドなど世界各国から約200匹が出場。成犬Aを除く10部門の最優秀犬には各大臣賞が与えられるが、成犬Aは雄雌合わせて最高位の犬に内閣総理大臣賞が贈られ、特優1席の三重の大地号が輝いた。さらに同保存会が特に優秀と認めた犬に贈られ、殿堂入りとなる「秋保名誉章」にも選ばれた。 中川さんは「50年秋田犬に関わっても獲得できない人もいる秋保名誉章。今回、選ばれた瞬間は思わず男泣きしました。これからも引き続き後世に残る犬を作出し、秋田犬の発展に貢献していきたいです」と話した。