既存の野球界に波紋、軋轢があっても…なぜ43歳元甲子園球児は“高3夏の夢を逃した”選手対象に「北海道とエスコンでキャンプ開催」するか
昨夏優勝校の慶応をはじめ、数多くの高校が
スポーツマンシップの基本は、チームメイト、相手選手、審判、スポーツそのものへのリスペクトである。両チームとも十二分に力を発揮したうえで、勝利を目指す。素晴らしいプレーをした選手には相手であっても拍手を送る。「勝利至上主義」とは似て非なる考え方であり、世界中のスポーツに関わる人たち、アスリートにとって「スタンダード」となっている。 「コロナ禍で、実際にできることは限られているけど、座学でスポーツマンシップを学ぶことはできる、と中村さんに協力をお願いして、3府県で実施していたLIGA Agresiva参加校の選手と保護者にも共にオンラインで学んでいただいて、理解を広めていきました」 多くのスポーツ分野が活動を制限せざるを得なくなる中、高校野球のリーグ戦、「LIGA Agresiva」は、むしろ全国に参加校が増えていった。2023年は、Liga神奈川の参加校でリーグ戦を積極的にけん引してきた慶応義塾高校が、夏の甲子園で優勝を果たす。この大会には参加校の中から、慶応義塾のほか、おかやま山陽、東京学館新潟、立命館宇治が甲子園に出場した。 「慶応義塾高校の森林貴彦監督と中村代表理事は、慶応義塾普通部(中学)のクラスメートでした。そのつながりから神奈川でもLIGAを、というお話をいただいてスタートし、そのうねりがさらに全国に広がっています」 大阪府の6校で始まった活動は、2024年には34都道府県184校にまで広がりつつある。「LIGA Agresiva」は、今後の高校野球の大きな潮流となっていくだろう。
高3夏、北海道栗山町とエスコンで野球キャンプを
阪長氏はさらに今夏から「LIGA Summer Camp」を始めることにした。これは夏の地方大会を終えて、高校野球生活が終わった高校3年生を対象とした野球キャンプだ。 北海道栗山町に高校3年生が集まって、チームに分かれてリーグ戦をする。また共同生活を通じて「野球をする仲間」としてのつながりを深めていく。開催時期は8月7日~18日、栗山町民球場をメイングラウンドとするが、試合最終日の17日にはエスコンフィールドHOKKAIDOでの試合が予定されている。 選手は参加費を自費負担して個人参加する。それなりに費用が掛かるから、誰もが参加できるわけではない。ただ高校野球に打ち込んだ3年間の最後の夏に、たとえ甲子園に出場しなくても、思いっきり野球をプレーして、さらに成長しよう、という趣旨だ。 「高校3年生の8月は、なぜ勝ち残ったチームの選手だけが経験を積めるのか? 甲子園に出場していなくとも実戦経験が積めて、自身の成長につなげ、スタッツを残せる試合があってもいいのではないか? そういう思いで企画しました。対象となるのは広く全国の高校3年生です。参加する選手が、北海道の地で自身の力をさらに伸ばし、発揮していくことで、夢を実現する可能性を広げる。 不完全燃焼に終わった選手も夏休みにたくさんの試合を行って自身の力を表現していく。 そういったこれまでになかった新たな環境を作ることで、参加いただく選手の未来、日本の野球界、日本の未来を明るくしていく。そういう志を、皆さんと共有したいと思っています」
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