制服のモデルチェンジ2年連続700件超!でもまだ「着られない」生徒が…。私服との「選択制」必要
◆2年連続700件超え。学校制服に昭和以来のモデルチェンジの波
2024年、学生服のモデルチェンジが、全国で700件を超えました。 コロナ禍以降、増加傾向にありましたが、700件を超えたのは2023年から2年連続。昭和の終わり頃から平成にかけてのモデルチェンジ以来の大きな流れといえそうです。 【写真を見る】1960年代「学ラン」「セーラー服」の再現 モデルチェンジ後の制服は、ジェンダーマイノリティに配慮したデザイン、暑さ・寒さに対応しやすい素材、選択できるアイテムや組み合わせの多さなどが特徴です。 多くの学校で、男女兼用のブレザー、選択制のズボンとスカートを採用しており、ネクタイやリボンは選択制や廃止になることも。また、ウォッシャブルな制服も増えています。
◆障害者差別解消法が改正。学校における「合理的配慮」とは
障害者差別解消法の改正により、2024年4月1日から、民間事業者においても「合理的配慮の提供」が義務化されました。 学校における「合理的配慮」とは、特別な支援が必要な子どもがぶつかる困難を解消するための調整のこと。学校の過度な負担にならない範囲で、すべての学級・場で提供されます(*1)。 2016年から公立の学校には義務化されていましたが、今回の法改正により、これまで努力義務だった私立学校にも、合理的配慮の提供が義務づけられました。
◆さまざまな配慮があっても、制服を“着られない”生徒がいる
さて、モデルチェンジされた多くの制服には、さまざまな「配慮」がなされていますが、それでも制服を“着られない”生徒がいます。 たとえば、感覚過敏により制服を着ると体や心に不調をきたしてしまう。「同じであること」に圧力を感じたりする(逆に「同じであること」を強く求めたり、それにより安心したりするケースもあります)。 これらは、がまんや慣れで克服できるものではありません。制服が原因で登校できなくなることもあるのです。 また、合理的配慮により自分だけ異なる服を着ることになった結果、不必要に目立ってしまうことがつらい人もいるでしょう。 だからこそ、「選択肢の多い制服と私服、両方の着用が可能」などの多様性を前提としたルール作りが必要です。 また、もし指定の制服が着られずに私服を着る生徒に対して、周囲の生徒が「快適でいいな」「ずるい」と思うのであれば、それは制服について見直すタイミングなのかもしれません。誰にとってもよいルールを考える必要があります。