お気に入りの「推し仏」に投票する来場者＝金沢市の石川県立美術館

　金沢市の石川県立美術館で開催されている奈良国立博物館展「まるごと奈良博」では、来場者にお気に入りの「推（お）し仏（ぼとけ）」を尋ねる「私が好きなほとけさま投票」が行われている。8日も、心に深く刻まれた仏像や仏画に次々と投票する姿が見られた。 　会場出入り口付近に前期、後期、通期で展示される42点の仏像、仏画のパネルが掲示されており、会場を回り終えた来場者は思い思いの「推し」を書き込み、投票箱に入れた。最も多く票数を集めた「ほとけさま」に投票した人の中から抽選で10人に奈良博の豪華記念品を贈る。 　金沢市の主婦保井伊都子さん（72）は、疾走感あふれる姿が目を引く「伽藍神（がらんしん）立像」に投票した。保井さんは「動きと表情が豊かで、仏像のイメージが覆された」と語った。苦行後、悟りに至る道へと歩み始める「出山釈迦（しゅっせんしゃか）如来立像」に一票を投じたのは金沢市の会社員鉞田（おのだ）利也さん（52）。鉞田さんは「悟りへと諦めない姿は見る人に勇気を与えてくれる」と心を動かされた様子だった。 　奈良博展は「ポスト国民文化祭」の目玉事業として県、県立美術館、北國新聞社でつくる実行委員会が主催し、国宝8点、重要文化財93点を含む計205点が展示される。前期は28日まで、後期は31日～8月25日に開かれる。入場料は一般1500円、大学生千円、高校生800円、小中学生500円。