10世紀から続くテクニックと、ネパール山頂の廃プラのアップサイクル アルマーニのラグを代々手掛ける職人とは?
「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」のラグを手掛けるのは、ミラノ発「イルリアン カーペット(ILLULIAN CARPET)」のベンディス・ロンチェッティ・イルリアン(Bendis Ronchetti Illulian)だ。フレームに張られたキャンバスにウールやシルクの糸を打ち込むという古来からの手法は10世紀前から変わっていないが、顧客は屋内・屋外問わずイルリアンのラグをますます熱望している。屋外用のラグには耐久性が欠かせない。同ブランドはネパールの山頂で地元の業者がプラスチックからアップサイクルするラグジュアリーな糸にその機能を託した。
「イルリアン カーペット」のサステナブルラグには2種類あり、最高級の“プラチナ120”は1㎡あたり18万ノット、“ゴールド100”は同15万2000ノットで製作する。1つのラグを作るには30kgの廃棄プラスチックが必要だ。ベンディスがネパールで見つけたサステナブルな糸は、大気中の物質や紫外線に強いという。全コレクションがサステナブル仕様に調整でき、オーダーメードも可能。「一家の成功は、母親の忍耐力と起業家精神、好奇心のセンスによって築かれたものであり、それがファミリービジネスを現代まで存続させた」と話す。
ブランドの成り立ち
イルリアン一家は1950年代後半にイランを離れた。父親は米ロサンゼルスへ移り新生活を始めたのに対し、娘シャハナーズ(Shahanaz)はミラノに移り、そこで恋に落ちたイタリア人男性とアンティークビジネスを始めた。70年代になると夫妻はビジネスを広げたいと思うようになり、隣人のヨガ愛好家からネパールの伝統的なじゅうたん作りについて聞いたことがきっかけになった。夫妻はカトマンズ旅行を経て人脈を築き、「イルリアン カーペット」を設立した。ベンディスは、「現地の職人たちは、伝統的なデザインからよりモダンなデザインへと創造性を進化させることができた」と話す。