衆議院選挙の在外投票率、比例選で過去2番目に低い18・23%…利便性向上へネット投票望む声
第50回衆院選(10月27日投開票)で、在外投票の投票率(比例選)が制度導入以降、2番目に低い18・23%だったことが総務省のまとめでわかった。制度は改善が図られているものの、在外公館まで投票に行く手間などが指摘されており、更なる利便性向上のためにインターネット投票を認めるよう求める声も多い。
在外投票制度は2000年の衆院選から比例選で導入され、07年参院選以降は選挙区選も対象となった。また、今回からは、最高裁判所裁判官の国民審査でも投票が可能となった。
今回は制度開始から17回目の国政選挙で、大使館など計231の在外公館で投票が行われた。総務省の発表によると、投票日当日の在外選挙人名簿登録者数は9万5472人で、比例選の投票者数は1万7403人だった。外務省の海外在留邦人数調査統計(23年10月1日現在)によると、在留邦人の総数は129万人超で、名簿の登録者は1割にも満たない計算となる。
投票率(比例選)がこれまでの衆院選で最も高かったのは00年の29・07%で、最低は03年の15・93%。おおむね10~20%台で低迷しており、利便性の低さが要因として挙げられている。投票手段は現状、在外公館に出向くか、日本への郵送、もしくは一時帰国しかない。在外公館へ長時間移動が必要な人も多く、諦めてしまうケースもあるという。
ネット投票の導入を望む声を踏まえ、総務省も検討を進めている。18年に同省の有識者研究会がまとめた報告では、セキュリティー面などで一定の対策を講じれば課題をクリアできるとしたが、慎重論も根強く、導入は見通せていない。