韓国大統領公邸で軍や警護部隊が立ちはだかる 尹氏の拘束執行できず、数時間にらみ合い
【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣布した「非常戒厳」について捜査している捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」や警察でつくる合同捜査本部の捜査員らは3日朝、内乱首謀などの容疑による尹氏の拘束令状の執行に向けてソウル市内の大統領公邸に立ち入った。だが、大統領警護処や軍の部隊が立ちふさがり、数時間経過しても令状を執行できない膠着(こうちゃく)状態が続いている。 【写真】3日、ソウルの大統領公邸付近で、尹錫悦大統領の拘束令状執行に反発する支持者ら 令状が執行され、尹氏の身柄が拘束されれば、現職大統領として初のケースとなる。尹氏の弁護団は3日、令状は「違法、無効」だと改めて主張。執行されれば、法的措置を取ると表明した。 昨年12月に国会の弾劾訴追を受けて職務停止中の尹氏は公邸にとどまり、大統領としての警護を受けている。 警察関係者によると、公邸に向かったのは公捜処の捜査員と警察官の計約150人で、そのうち約80人が3日午前8時過ぎに敷地内に入った。捜査員らは軍部隊の阻止は振り切ったものの、公邸前で警護処の部隊と午後に入ってからもにらみ合いが続いている。 警護処は大統領警護に関する法律を盾に建物内への立ち入りを拒んでいるという。 軍部隊は陸軍首都防衛司令部代55警備団とみられる。警護処に配属され、軍に指揮権はない。 公邸前には、尹氏の支持者らが2日から大勢集まり、弾劾や令状執行に反対するデモを夜通し繰り広げている。警察は機動隊員約2700人を周囲に配置。デモ隊との衝突にも備えている。