一度は脳梗塞に倒れたが…70代経営者、いまから「賃貸事業計画」に取り組む切実理由
ハウスメーカーの費用見積「2億円」をどう考えるか?
賃貸併用の住宅を建設し、1階が自宅、2~3階を賃貸する方法がいちばんよいという結論になったことで、佐藤さんご夫婦もその方向で検討することになりました。しかし、次の課題は事業収支です。 佐藤さんご夫婦が、全館空調の設備が組み込めることから希望した1社は、見積の結果、事業費が約2億円になります。 年間の借入返済は700万円で、2~3階の賃料は坪単価12,000円。100坪を賃貸しますので、年間1200万円の賃料が入ります。管理費や固定資産税の負担などを考慮すると、手取りは1,000万円程度となり、700万円の借入返済をしても、まだ300万円以上は手元に残るという計算です。しかし、将来的な賃料の減額や、維持のための出費を考えると、もう少し収支バランスを検討したいという話になり、さらに検証を進めることになりました。 「もちろん、われわれ世代が亡くなったあとの相続も心配なのですが、実際のところ、あとどれだけ生きるかわかりません。大事なひとり息子には、親として迷惑をかけたくないですし、なにより、少しでも多く財産を残してやりたい。メリットになる方法があれば…」 賃貸事業は30年以上の長丁場となるビジネスです。そのため、スタートの事業費の検証は非常に重要となるのです。 ※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。 曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 ◆相続対策専門士とは?◆ 公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。 「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
曽根 惠子