<甲子園交流試合・2020センバツ32校>明豊4-2県岐阜商 明豊左腕、確かな成長
◇第2日(11日・阪神甲子園球場) 序盤に攻勢を掛けた明豊が逃げ切った。立ち上がりの制球に苦しむ県岐阜商の先発・野崎の失投を的確にとらえた。一回に小川の右翼線適時二塁打で1点先取。二回には宮川の2点適時打でリードを広げた。投げては先発の若杉が緩急をうまく使い7回1失点。県岐阜商は守備の乱れが響き、攻撃のリズムにつなげられなかった。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら <明豊4-2県岐阜商> 甲子園に帰ってきた左腕が躍動した。明豊の若杉が昨秋の東海大会準優勝の県岐阜商を7回1失点に抑えてチームを勝利に導き、「やっぱり甲子園のマウンドは投げやすい。戻ってきたなと感じて、思い切り投げられた」と笑顔を振りまいた。 昨春のセンバツで、2年生ながらエースとして先発3試合を含めて全4試合に登板し、チーム初の甲子園4強入りに貢献した。しかし、昨夏は大分大会準決勝で敗れ、出場を決めた今春のセンバツはコロナ禍で中止となった。約1年5カ月ぶりの夢舞台で、若杉は成長した姿を見せつけた。 交流試合の開催が決まってから「絶対に抑える」と意識してきた課題の立ち上がりだったが、3者三振で「100点満点」(若杉)。130キロ台後半の直球は球威があり、スライダーも切れ味鋭かった。一番の成長は「直球に近いフォームに見えるように腕の振りを速くした」と工夫したスライダーだ。七回、3点差に迫られ、なおも2死二塁のピンチ。前の打席まで2安打されている県岐阜商の右打者、宇佐美を内角をえぐるスライダーで詰まらせ、一ゴロに打ち取りしのいだ。9奪三振の快投に、川崎監督は「この1年で一番良かった」と手放しで褒めた。 明豊はベンチ入りした20人全員が出場し、「勝つために交代していたら、全員だった」と川崎監督。若杉は「この1試合を甲子園の決勝だと思って、全員で絶対に勝とうとやってきた。勝ててうれしい」。主将のエースは誇らしげだった。【吉見裕都】 ◇県岐阜商、意地の第1号 佐々木泰三塁手(県岐阜商・3年) 県岐阜商ベンチから、外野スタンドを指さす鍛治舎監督が見えた。九回、先頭で打席に入った主将の佐々木。すぐさま「スタンドへ放り込め」というサインだと悟った。明豊の3番手左腕・太田に追い込まれたが、5球目の外角高めの直球を強振し、左中間スタンドぎりぎりに放り込んだ。交流試合第1号に「1試合しかないので何とか打ちたかった。自信になった」。ガッツポーズのまま、ダイヤモンドを一周した。 高校通算41号目となる記念の一発だ。入学直後から打線の中軸を任されるスラッガー。2ストライクに追い込まれると、コンパクトにミートするノーステップ打法に切り替えるのが県岐阜商打線の鉄則だが、佐々木は「監督から『強いバッティングをしろ』と言われていた」。記念の本塁打は、左足を上げてしっかり踏み込む自身のスタイルを貫いた末に生まれた。 学校関係者に新型コロナウイルスの感染が確認された影響で、チームは県独自大会の出場を辞退し、外出も禁止となった。自宅で筋力トレーニングをしながら独自大会をテレビで観戦し「うずうずしていた」という。 それでも、負けた悔しさは人一倍身にしみる。「次の舞台でも活躍できるように、しっかり鍛え直したい」。いつもと異なる「夏」の経験を、無駄にするつもりはない。【伝田賢史】 ……………………………………………………………………………………………………… △午後3時35分開始 明豊(大分) 120000100=4 000000101=2 県岐阜商(岐阜)