映画「ブルーピリオド」劇中歌に荒巻勇仁さん「泣きながら歌詞を書いた」 9月14日に福井県の音楽フェス「おぼろっく」出演
全国公開中で、数多くの若手実力派俳優が美術の世界を志す若者を演じて話題の映画「ブルーピリオド」。福井県坂井市出身のアーティスト荒巻勇仁さん(23)=東京都=が劇中歌の作詞作曲と歌を担当した。自身が経験した創作の苦悩と喜びを歌詞にぶつけたと語り、出来栄えに自信を見せる。 映画は同名の人気漫画が原作で、国内最難関の美術大を目指す若者たちの群像劇。真栄田郷敦さんや高橋文哉さん、板垣李光人さん、桜田ひよりさんらが出演し、「東京喰種 トーキョーグール」(2017年)の萩原健太郎監督がメガホンを取った。 劇中歌のオファーは同作品の音楽を担当するYaffle(ヤッフル)こと小島裕規さんからあった。小島さんは藤井風さんやiri(イリ)さんらのプロデューサーを務め、荒巻さんにとって「いつか一緒に制作したいとあこがれていた人」だった。 劇中歌「憧憬(どうけい)画」は、主人公・矢口八虎(やとら)の何度も自信を失いながら立ち上がる姿を歌った。「自分は天才ではない。それならば天才と見分けがつかなくなるまで努力するしかない」と語る八虎の思いをくんで、「くたばってたまるかと喰らいついた僕らは 不平等に回る才能 光をのせ描け」と歌詞につづった。自身の経験も重なった。 高校在学中から福井で音楽活動をしていたが昨年上京。同世代の音楽を志す仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)する中で、八虎と同じく「自分は天才ではない」と感じることが多かった。「八虎の気持ちがものすごく分かって、泣きながら歌詞を書いた」と振り返る。 上映会では、同席した漫画の作者、山口つばささんから「良い歌ですね。ありがとう」と声をかけられたという。 荒巻さんは「歌いたいことがちゃんと歌えた感覚がある。劇場で荒巻勇仁の声を初めて聴く人が多いと思うので、悔いが残らないよう、今持てるすべてを込めた」と楽曲の出来栄えに納得の表情を見せる。 敦賀市で9月14日に開かれる音楽フェス「おぼろっく」の金ケ崎緑地公園特設ステージに出演する。「東京で鍛えた表現力を披露したい」と意気込んでいる。
福井新聞社