「私は女性として生まれた」“性別”めぐる議論、渦中のハリフ選手が金 パリ五輪・ボクシング女子
9日、パリオリンピックのボクシング女子66キロ級決勝で“性別”をめぐる議論の渦中にいるアルジェリアのエイマヌン・ハリフ選手が中国の楊柳選手に5対0で判定勝ちし、金メダルを獲得しました。 試合は終始、ハリフ選手の優勢で進み、鋭いパンチが決まるたびに会場中は大歓声に包まれました。 これまでの試合では、イタリアの選手が開始わずか46秒で棄権したり、別の選手が抗議の意を示すリアクションをしていたとSNS上で話題になったりする場面もありましたが、決勝戦の勝利直後には中国の楊選手と拳を突き合わせて互いに笑顔でたたえ合う様子がみられました。
試合後のインタビューでハリフ選手は、家族や観客らに感謝を述べた上で、「私は女性として生まれ、女性として育ち、参加資格を満たしている、それは間違いない」と改めて主張。世界に向けて「今後こうした誹謗中傷が無くなることを願っている」と話しました。 もう一人の当事者であるボクシング女子57kg級代表の台湾・林郁テイ(女へんに亭)選手は、現地時間10日、決勝戦にのぞむ予定です。 2人の“性別”をめぐっては、国際ボクシング協会=IBAが統括する去年の世界選手権で、“男性の染色体を持つ”とされ、性別検査で不合格となるなどして議論を呼んでいますが、IOCのバッハ会長は9日、「二人は女性であり、女性競技に参加する権利がある」と会見でIOCの立場を強調し、真っ向から対立しています。 また、バッハ会長は、今後のIOCのガイドラインについては、「科学的に根拠のある男女を区別するシステムがあるのなら、提案してくれれば喜んで取り入れる」と話しました。