いつの間にか「グルメ」「旅」「仰天事件簿」ばかりに…テレビが本当につまらなくなった
PUTが3年連続で下落
テレビが急につまらなくなった。それは2023年度のPUT(総個人視聴率=テレビをリアルタイムで観ている人の割合)に表れている。プライム帯(午後7~同11時)のPUTはこの3年で4.5%も落ちた。関東地方で約189万人のリアルタイム視聴者が消えたことになる。「娯楽の王様」と呼ばれていたテレビは一体どうしたのか? (視聴率はビデオリサーチ調べ)【高堀冬彦/放送コラムニスト、ジャーナリスト】 【写真】「豪華すぎます」と話題に…26年ぶりにTBS「日曜劇場」出演のイケメン俳優
テレビを観ている人全体の割合であるPUTが2021年度から昨年度まで3年連続で下がった。全日帯(午前6~深夜0時)は21年度の21.8%が昨年度は18.8%に。プライム帯は33.6%から29.1%になってしまった。 全体値であるPUTが落ちているということは、テレビ界が苦境に追い込まれていることを示す。実際、PUTが低下したため、番組と番組の合間に流れるスポットCMをやめてしまったり、減らしたりしたスポンサーもある。 PUTが低下した分、録画視聴が増えたというわけではない。2022年度の総務省の発表によると、同年度に録画でテレビを観た時間は1人平日18.2分で、ここ10年、横ばい状態が続いている。 Tverもあるが、この実態を正確に把握するのは難しい。今年3月の月間再生回数は4億5000万回を超え、過去最高記録を更新したそうだが、一方で完再生率(番組を最後まで観る割合)は7割前後にとどまっている。 さらにドラマの出演者のファンたちがX(旧ツイッター)で「みんなでTverを回しましょう」と呼び掛けるケースがよくある。組織票と同じであり、これでは再生回数の信頼が揺らいでしまう。 Tverがどれくらい観られているのかが正確に掴めるのは、ビデオリサーチが全国的にTverの視聴率を測り始める来年10月以降ではないか。また、民放各局のTverの広告売上高は急伸しているものの、CM売上高の約20~40分の1に過ぎない。