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アイルランドのトランジション・イヤー（TY）がもたらす、10代の若者への影響に注目が集まっている。 【画像】アイルランドのTY制度が注目を集めている背景には、あのアイルランド出身の俳優の活躍も！ TYは、日本の高校1年生にあたる年に設けられたギャップイヤーで、生徒はその1年間、学校カリキュラム外の学問や芸術、実践的な仕事体験など、幅広い分野に触れることができる。 たとえば、民俗学や法学、心理学、コーディング、ミュージカル、社会問題解決のための各種ボランティア、車の整備、実践的な職業体験、リーダーシップや起業スキルを学ぶクラスなど、学校ごとに多様なプログラムが用意されており、生徒はそれらのなかから自由に選び、学ぶことができる。 アイルランドの学校制度は、大まかにいえば中高一貫で、このTY制度は、ジュニアサイクル（日本の中学3年間に相当）とシニアサイクル（高校2～3年に相当）の間に設けられている。 シニアサイクルの2年間は、いわば「卒業準備コース」となっており、リービング・サーティフィケイトと呼ばれる国家試験（大学試験のようなもの）のために、多くの生徒たちは勉強に追い込みをかける。 そのまえに、テストや成績のことを一旦忘れて、学校では学べない学問に触れたり、職業体験を通して自分の将来について考えたりできるというのが、TYの魅力になっている。 このTYを希望するかどうかは自由選択で、希望しない場合は、ジュニアサイクル終了後にそのままシニアサイクルに入れるが、英紙「ガーディアン」によれば、最近では約80%が、つまりほとんどの生徒がTYを希望している。 これは、多くの親や生徒らがTY制度を支持している証左だという。 実際、TYを選択した生徒は、そのままシニアサイクルに進んだ生徒よりも試験（リービング・サーティフィケイト）で平均で40ポイント高い点数を獲得している。 また、OECD（経済協力開発機構）の最新のPisa評価によると、アイルランドの15歳はEUおよびOECD全体で読解力の成績が最も高く、数学と科学の成績もOECD平均を上回っている。など、TY終了後に学業成績が向上するという研究結果が出ている。 このようなTY終了後に学業成績が向上する研究結果もあってか、15歳という子供から大人への移行期である時期に、生徒を一時的に勉強（成績）中心の学校教育から解放し、代わりに個人の成長や社会と関わる機会を与えるこのプログラムに、近年、世界各国の教育者が関心を寄せている。 アイルランド紙「アイルランド・タイムズ」によれば、シンガポールや韓国などは、子供の「ストレスや不安の軽減に役立つ」というTYの利点にも注目しているようだ。