福知山脱線遺族の原口さん 学生と命の尊さ訴えるライブ
2005年4月25日に兵庫県尼崎市で乗客106人と運転士が死亡し、562人が重軽傷を負ったJR福知山線脱線事故で夫の浩志さんを亡くした宝塚市のピアノ講師、原口佳代さん(55)が音大の仲間らとともに結成した音楽グループ「虹色の音」が27日、同市内にある宝塚ホテルで「いのちの理由~いのちを大切に、悲しみからたちなおるために~」と題した講演とライブを行った。
辛さを抱える若者らに「いのちの大切さ」伝える
佳代さんは、10年前の事故で夫を亡くし、その後ずっとそばで自分を支えてくれた母の淳子さんも3年前に病気のため亡くなった。そうした経験から、様々な悲しみや苦しみ、辛さを抱える若者らに「いのちの大切さ」を話せる場を作ろうと思い、今回の講演ライブ開催に至ったという。 今回は、これまでの講演を通して知り合い交流があるという関西学院大学・人間福祉学部の坂口幸弘教授のゼミ生らが協力。学生たちが「人の一生」を木の葉に例えて、命の尊さを伝えるために作った動画「はっぱの物語」なども上映された。 また、淳子さんを亡くして絶望の淵にいた時に聴いて励まされたという、さだまさしさんの曲「奇跡」など4曲を熱唱。歌を聴いて会場に来ていた人らが涙する姿も見られるなど「いのちの大切さ」を全員が分かち合い、佳代さんは「今回こうして歌を聴いてくださって、すごくうれしかったです」と笑顔で話していた。 「虹色の音」は、佳代さんがこの10年で様々な人と出会い、その時に自分がもらったという「温かい人の優しさ」をもとに「音楽を通じて、人に寄り添ったりできたら」と思い作ったグループ。今後も、こうした講演やライブなどの活動を通し、いのちの大切さなどを伝えていくという。