「企業と一緒に挑み、共に栄える」 みずほ銀行・加藤勝彦頭取 中堅・新興への支援を強化
みずほ銀行の加藤勝彦頭取は2日までに産経新聞のインタビューに応じ、中堅企業や革新的な技術を持つ有望な新興企業(スタートアップ)への支援を強化する考えを示した。「日本の経済全体の底上げを図っていきたい」と語り、日本企業の競争力向上への貢献に意欲を示した。 加藤氏は、中堅企業の経営課題を探り、企業価値の向上につながる提案を行う体制を拡充したことを明らかにした。10人弱だった専門部署のスタッフを4月1日付で約70人に増員。支援先企業も100社から300社に増やした。 具体的な取り組みについて、加藤氏は「支援先企業の有価証券報告書を読み、市場を考え、強みや弱みを見る。成長するためのM&A(企業の買収・合併)や事業承継などを提案していく」と説明した。 スタートアップ向けには、研究開発費が先行し、事業の黒字化に時間を要する最先端技術(ディープテック)を扱う企業でも資金調達がしやすくするため、ベンチャーキャピタルが行う株式投資と銀行の融資の間を埋める金融商品「ベンチャーデット」などを活用して支援する。 加藤氏は「スタートアップには大きなポテンシャルがある。新しいテクノロジーが出てくれば経済の活性化につながり、新陳代謝が進んでいく」と期待を寄せた。 みずほは、「日本資本主義の父」といわれ、3日に発行が始まる新1万円札の肖像画に採用された渋沢栄一が創設した日本初の近代的銀行・第一国立銀行をルーツに持つ。 加藤氏は「江戸から明治へと移る転換期に渋沢が作った銀行はまさにスタートアップだった。アイデンティーを受け継ぎ、企業と一緒に挑むことで共に栄えていきたい」と意気込んだ。(宇野貴文)