スーツを体に馴染ませ、軽快に着る。
どんなカバンが紳士に似合うのか?
「スーツのときは手ぶらがいいけど、必要な場合は極力シンプルなカバンを持つ。これはイギリスの〈シンプソン〉のレザーバッグ。一見、ドキュメントケースのようだけど、持ち手が収納してあるんです」
シャツの基本色は? 下に何か着るべきか?
「まず白いシャツがあれば間違いない。基本は着ませんが、寒いときなど必要なときは透けないようにノースリーブのVネックの下着を身につけます。スーツの色に合わせて、ブルーやチェックを着ることも。白いシャツは『バタク』でビスポークしたもので、ストライプシャツは〈ルーイン〉、ブルーのチェックシャツは〈ステファン・ブラザーズ〉です」
黒の次は茶色の靴、どうやって合わせる?
「イギリスでは、茶色い靴は田舎で履くもの。でも、〈ジェイエムウェストン〉のブーツを手に入れて、茶色の靴を楽しみたくなりました。コーデュロイのスーツにもよく合わせます。他にも〈ジェイエムウェストン〉のローファー、〈ジョージクレバリー〉のチャッカブーツ、〈ロイド・フットウェア〉のダービーを愛用中です」
足の肌を見せない、そのための工夫は?
「ズボンの裾から肌をのぞかせるのはマナー違反。わかっていても、ついつい気を抜きがち。ソックスガーターがあれば完璧です。ロングホーズソックスをはくときもあります。大人のスーツは、こういった細部こそが大事だと思います」
2着目に手に入れるべきスーツは?
「コーデュロイがオススメですね。ちなみに、こちらはパリのカフェでコーヒーを飲む場面をイメージして作りました。素材的に、スーツを“着倒す”感覚が楽しめるし、カジュアルでも着られるのがいい。パンツの裾も大切。冬用のスーツのときは、シューズにハーフクッションができるよう、計算しています」
スーツのアイデアソースは?
「穂積和夫さんの本、昔の写真集や映画を見ていると、どんなスーツが欲しいかイメージが明確になります。スーツは1年に1着作る。今年が冬物なら次の年は夏物にして、ワードローブのバランスを取っています」
スーツに合わせてコートも替えるべき?
「替えたほうが、スーツ姿が映えると思います。フランネルスーツのときは『バタク』で作ったビスポークのカバートコート。もともとはハンティングや乗馬のときに着るコートでカバートクロスという丈夫な生地で仕立てています。コーデュロイスーツの上には、’70年代の〈アクアスキュータム〉のキングスゲートというコートがしっくりくるんです」