モモとの旅(7月28日)
『モモ』は、円形劇場跡で暮らすモモと町の人たちに起きた過去の話でなかったのか。時間泥棒は今、われわれの時間に忍び込んでいるのだろうか。そういえば、「タイパ」や時間効率主義という言葉が、最近気になってはいたのだけれど。 長野県を訪ねたのは、以前同じツアーに参加した友人夫妻に会うためだった。35年ぶりの再会だったが、会って話しをしていると、時間が巻き戻されていくようだった。旅をしながら食べた料理、街のにぎわい、聞こえた音やにおいまで、日程表や写真を見ていても忘れていた事柄が、楽しい語らいの合間に、時間を超えて息を吹き返し、生き生きと目の前に現れた。 自分と誰かが共に生きている時間を大切に過ごす。今回の旅で、モモが教えてくれたことだ。 (前田智子 児童文学者、会津若松市在住)