バイデン大統領が熱帯雨林アマゾン訪問 現職初、トランプ氏けん制
バイデン米大統領は17日、南米ブラジルの熱帯雨林アマゾンを訪問した。今月5日の大統領選で返り咲きを決めたトランプ前大統領は気候変動対策に後ろ向きな姿勢を見せている。バイデン氏は現職の米大統領として初めてアマゾンを訪れることで、脱炭素に向けた取り組みの重要性を世界に発信する狙いとみられる。 米メディアによると、バイデン氏はリオデジャネイロで18~19日に開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する前にアマゾンの最大都市、北部マナウスを訪問した。ヘリコプターに搭乗して干ばつで水量が減少した川などを視察し、先住民の女性らと面会した。 バイデン氏は演説で、トランプ氏を念頭に「クリーンエネルギー革命を否定したり、遅らせたりする者がいるかもしれない」と述べた上で、「だが、誰も覆すことはできない」と強調した。「アマゾンは5000万年以上の時を経て形成された」として、この歴史が今「我々を見つめている」とも述べた。 ブラジルなどにまたがる広さ約550万平方キロのアマゾンは「地球の肺」と呼ばれる。だが、近年は気候変動に伴う森林火災や干ばつ、人間による違法伐採が深刻化している。バイデン政権は同じ日、熱帯雨林保護を目的にブラジル政府が運用する「アマゾン基金」への拠出を5000万ドル(約77億3000万円)増やし、計1億ドルとすることなども発表した。 トランプ氏は1期目の2017年に地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を表明。バイデン政権が復帰した協定から、再び離脱する方針を掲げている。選挙戦では「掘って、掘って、掘りまくれ」をスローガンに石油・ガスの増産も主張しており、国際協調への悪影響が懸念されている。【リオデジャネイロ中村聡也】