経済界に広がる「自公過半数割れ」懸念の“本音”…選挙結果は最大の関心事【政官財スキャニング】
【政官財スキャニング】#87 財界通(以下=財) 経済界の大物から、今回の衆議院選について「自民党と公明党で議席の過半数を割る可能性があるというのは、本当か?」「政治記者の情報はどうだ?」と尋ねられたが、どんな情勢だ? 自民パーティー券裏金問題で“買い手責任”が炎上するか…企業が問われる政治改革への「原点回帰」 政界通(同=政) 9日の解散の前は「自民党の調査で過半数割れもある」という情報が、もっぱらだった。 官界通(同=官) それは、霞が関でも同じだ。 政 でも、15日の公示の前はちょっと違う情報が流れ、「過半数割れの可能性もある」という程度へ変わり、自民党関係者の表情の暗さも少し消えた。 官 経済人が与党の過半数割れを懸念しているのは「立憲民主党や維新の会が連立内閣を組んでも相手にしたくない」ということか? 財 いや、違う。立憲の野田佳彦代表は首相のときに社会保障制度の財源を確保しようと、政権を懸けて消費税の増税を実現させた。経済界でその評価は高く、手腕に懸念はしていない。 政 ははあ、いまの野党のバラバラぶりが心配なのだな。政権に就いても政策が停滞し、経済が混乱するという懸念だな。 財 そうだ。野党が政策協定を結んで政策を一つの方向へ示すなら、米国や英国で機能している2大政党制に近づき、政策の選択肢がいまよりも前進する。でも、政策協定を議論するどころか候補者の一本化にも消極的で、自分の党のことしか考えていない状況で政権に就いたら、円相場は暴落し、経済外交もおぼつかないというのが、その大物経済人の本音だ。 官 霞が関の官僚たちも、同様だ。でも、それを言っていたら、いつまでも政権交代はできない。仮に混乱があっても、いまの野党が政権運営の経験を積み、自公に対抗して政策の選択肢を示すようにならないと、日本は変わらない。 政 正論だな。でも、いまの日本に混乱をものともしない底力があるかね。 財 経済人たちが心配するのも、そこだ。中国との付き合い方ひとつとっても、どの野党にも信頼できる政策は見えない。選挙がどんな結果になるかは、やはり経済界最大の関心事だ。 (構成=竜孝裕/ジャーナリスト)