環境省が有料化検討 過去に杉並区が議論した「レジ袋税」とは?
「エコ」の分野でいま世界的に関心が高まっているのがプラスチック製ストローの問題です。世界的な飲食チェーンのスターバックスやマクドナルドはプラスチック製ストローから紙製ストローへの切り替えを進めています。プラスチックごみによる海洋汚染が懸念されているからです。グローバル企業として知られる両社の動きは大きな関心を集め、他の企業にも追随する動きがあります。 環境に負荷を与えるものとして、以前からレジ袋も問題視されていました。“脱レジ袋”へ向け、スーパーなどでのマイバッグ持参が呼びかけられ、協力的な小売店や消費者も増えています。こうした取り組みが広がる中、環境省が11月にレジ袋を有料化する方針を打ち出しました。この方針は、私たちのライフスタイルを変えていくことになるかもしれません。
レジ袋税の議論でマイバッグ持参率向上
環境省が検討を進めるレジ袋有料化の義務付けは、スーパーやコンビニなどの小売店だけではなく、私たちの消費者心理や購買行動にも大きな影響を与えそうです。それだけに大きな関心を集めています。環境省は今後数年かけてレジ袋有料化の制度設計を進めるようです。そのため、現時点で詳細は明らかになっていません。 こうした国の動きよりも、一足早く動き出していたのが東京・杉並区です。杉並区は区を挙げてレジ袋の削減に取り組み、「レジ袋税(すぎなみ環境目的税)」の導入を検討した過去があります。 「2000年の『地方分権一括法』施行で、地方自治体が独自に制定できる法定外税の創設が許可制から事前協議制に切り替わりました。これは、自治体の課税自主権が強化されたことを意味します。こうした動きを受けて、杉並区は環境意識の向上に寄与する『すぎなみ環境目的税』の検討を始めたのです」と話すのは、杉並区区民生活部課税課の担当者です。 このすぎなみ環境目的税は有識者による議論を経て、2002(平成14)年に区議会で条例が可決。買い物した際にもらうレジ袋に課税することから「レジ袋税」と通称されました。 「当初、区ではレジ袋1枚につき5円を課税することを想定していました。レジ袋税は、あくまでも環境に対する意識向上やリサイクルの推進を目的にしています。その一環として、マイバッグ推進運動にも同時に取り組みました。決して、税収増を目的にしたものではありません」(同) 杉並区のレジ袋税は、コンビニやスーパーなどの小売店、消費者である区民から大きな反響がありました。そのため、レジ袋税条例可決直後の2002年のマイバッグ持参率が26.1%だったのに対し、その3年後には35.2%に上昇しています。レジ袋税導入の議論がマイバッグ持参率の向上に大きく寄与したのです。