全力で応援したい陸海空の災害派遣。「能登半島地震」の現場へ自衛隊が出動中!
1月1日に発生した能登半島地震。防衛省は陸海空の自衛隊を派遣して、現在も復旧・支援活動は続いている。メディアの報道だけではわからない、自衛隊の活躍を専門家に解説してもらいます! 【写真】復旧・支援活動する自衛隊の活躍(全28枚) * * * ■航空機の運用が困難な能登半島地震 1月1日に発生した能登半島地震。被災現場には陸海空7000人以上の隊員が派遣されている。その支援活動の内容などを、東日本大震災に医療部隊隊長として派遣された経験のある元陸上自衛隊幹部の照井資規さんに解説してもらいます。 ――災害派遣された自衛隊が、まず行なうことは? 照井 大規模災害の初動では人命の救助・救護、通信ネットワークの構築。そしてヘリコプターの離着陸と燃料補給の拠点となる支援地域の選定・構築を行ないます。今回、これまでの災害と異なるのは、支援地域が構築できないことです。 ――支援地域が構築できない理由は? 照井 支援地域には数㎞範囲の平坦な土地が必要です。能登半島は起伏の激しい山岳地帯でこれに適した地形がなく、大規模なヘリ運用を行なえません。このような地形はヘリの離着陸にも適さず、孤立地域への支援活動は陸自隊員による徒歩移動に頼ることになっています。 徒歩での支援活動に従事する隊員はレンジャーや空挺資格の所有者が多く、ロープを活用した山岳地帯の移動を熟知しています。現状では最も確実かつ安全な物資輸送です。 ――SNSでは「パラシュートでの物資投下は?」という声がありますが、これは? 照井 支援地域が構築できない場所ではパラシュートでの物資投下も行なえません。住宅があり投下による二次被害も懸念され、物資回収の隊員も確保する必要があります。回収する隊員をそろえるなら、徒歩で孤立地域へ物資輸送したほうが合理的なのです。 ただ、アメリカ軍は特殊部隊用として、リモート操作である程度の投下位置を指定できるパラシュートが採用されています。これなら能登半島のような地理的な条件でも物資投下が可能です。こういった装備品も災害時には生かせるでしょう。