つがる総合病院で医療事故 損害賠償金9,124万円支払いへ
2017年に生まれた双子の第2子に重度の脳性まひが残り、五所川原市のつがる総合病院は9,124万円の損害賠償金を支払うと決定しました。 つがる西北五広域連合によりますと、2017年五所川原市のつがる総合病院で生まれた双子の第2子に重度の脳性まひが残りました。 出産する際、帝王切開を行わず産道からの分娩で人工破水を行ったところ頭よりも先に、へその緒が出てくる「さい帯脱出」が発生し、脳に酸素や血液が十分に届かない状態だったということです。 病院側は産道からの分娩と帝王切開を選択してもらう際の説明が不十分だったこと、胎児の頭が十分に固定されていなかった可能性があること、より迅速な「超緊急帝王切開」を行う体制がとれていなかったことから責任を認めました。 患者と家族に9,124万円の損害賠償金を支払います。 つがる総合病院は再発防止策を徹底して医療の安全確保に努めるとコメントしています。
つがる西北五広域連合とつがる総合病院の発表内容全文
【患者】 双胎妊娠の第2子(37週で分娩) 【概要】 平成29年、つがる総合病院において、患者様の母が双胎の分娩をする際、第1子を経膣で正常分娩後、第2子である患者様の娩出のために人工破膜を行いましたが、臍帯脱出(児頭より先に臍帯が出てくる状態)が起こりました。 そのため、緊急帝王切開によって、患者様を娩出しましたが、娩出後、患者様が仮死状態であったために、NCUのある医療機関へ搬出したものの、出生の際の低酸素性虚血性脳症により重度の脳性麻痺が残りました。 【対応】 産科医療保障制度原因分析委員会や県外の複数の産婦人科専門医の意見等を踏まえ、双胎妊娠の経膣分娩及び帝王切開について、各々のリスクなど十分に説明を行い、理解していただいた上で分娩様式を選択していただくべきところ、それが不十分であったと考えられることのほか、第1子の娩出後、経腹超音波断層法で第2子の胎位が頭位に変化したことを確認するとともに経膣超音波断層法にて臍帯先進がないことを確認の上で人工破膜を行ったものの臍帯脱出が起きていることから、児頭が十分に固定していなかった可能性を完全には排除できないこと、また、ダブルセットアップ体制まではとっていなかったため、超緊急帝王切開まではできなかったことから、重大な障害に至ったものと判断されたため、当院の責任を認めた上で損害賠償金を支払うことといたしました。 【当院での双胎分娩について】 当院の医療安全委員会における検討も踏まえ、現在は、当院で双胎妊娠の分娩を希望される場合は、帝王切開の方針としております。 【コメント】 このたびは、患者様とご家族様に大変な苦痛とご負担をお掛けし、心より深くお詫び申し上げますとともに、今後も病院としてサポートしていきたいと考えております。 今後、このような事故を繰り返すことのないよう、再発防止策の徹底を全職員に図り、病院全体で医療事故防止に努めて参ります。 今後とも、医療の安全確保に最善を尽くしてまいる所存です。