パリ五輪『最後の晩餐』シーンはなぜ“大バッシング”を受けている? 現状について今、分かっていること
2024年7月26日に開幕したパリオリンピック。スターが勢ぞろいする中、壮大なスケールで行われた開会式では、レディー・ガガやアヤ・ナカムラ、2022年にスティフ・パーソン症候群と診断されたセリーヌ・ディオンがステージに復帰するなど、素晴らしいパフォーマンスも披露された。 【動画】キリスト教団体も激怒... パリオリンピック開会式で物議を醸した『最後の晩餐』シーンを動画で見る しかし、フランスのさまざまな文化が披露された中で、ドラァグクィーンやダンサーたちが演じた場面が、図らずもレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』に似ていたとして、賛否両論が巻き起こった。 オリンピックがクィアの存在を可視化し、LGBTQ+を受け入れたことを賞賛する声の一方で、宗教的絵画に対する侮辱だと感じた人もいて、パリ2024組織委員会が謝罪する事態にまで発展した。
人々はなぜ、開会式で「最後の晩餐」を思わせる場面に怒ったのか?
ロイター通信によると、保守派のキリスト教徒たちが宗教画、この場合はレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を使用したことを不快に感じた。ダ・ヴィンチの絵はイエスが十字架にかけられる前に、最後に十二使徒と晩餐を共にするのを描いた作品だ。 しかし、オリンピック組織委員会は、あの場面は『最後の晩餐』を模したものではないと明確に否定した。ドラァグのパフォーマーやトランスのモデルたち、ヌードになったシンガーのフィリップ・カトリーヌは、『最後の晩餐』にやや似ている絵の前でポーズをとっている。
開会式で『最後の晩餐』を想起させる場面を登場させた理由は?
簡単に言うと、開会式で参照したのは『最後の晩餐』ではない。ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を想起した人がいたかもしれないけれど、パリ2024の公式Xによると、あれはギリシャ神話でワイン醸造や豊穣、エクスタシーの神であるディオニュソスにインスパイアされたものだという。 開会式ディレクターのトーマス・ジョリーはBFMTVのインタビューで、「ディオニュソスはギリシャ神話のお祝いの神だからテーブルにやってきたもので、あれは“祝祭”の場面です。ディオニュソスはフランスの宝ともいえるワインの神様で、セーヌ川の女神であるセクアナの父でもあります。オリンパス山の神とつながる、多様な宗教を信仰する人々の大きなパーティーを作り上げようというアイデアでした。私にも、私の仕事にも、誰かを馬鹿にしようなどという気持ちはありません」と述べたと、CNNは報じている。