再びアフリカで活発化する中国の経済活動 大部分がなお搾取的、データで浮き彫りに
コロナ禍で停滞していた中国の対外経済協力プログラムが、アフリカを中心に回復しつつある。ロイターが分析した融資、投資、貿易データで明らかになった。 中国はアフリカの近代化を支援し、「ウィンウィン」の協力を促進する方針を掲げている。その表れとして、新たな建設への数十億ドル規模の投資と、記録的な二国間貿易額を引き合いに出している。しかし大部分がなお搾取的な関係にあり、中国が唱える広域経済圏構想「一帯一路」の理念に沿っていないことをデータが示している。 <融資> コロナ禍以前、中国のアフリカへの関与は、港湾、水力発電所、鉄道建設の資金調達を行うための政府融資が中心だった。ボストン大学のグローバル・チャイナ・イニシアチブによれば、その額は2016年に284億ドルでピークに達した。 しかし中国の政府融資は現在、過去20年間で最低の水準にあり、回復は期待できない。 その代わり中国当局は国内企業が資本参加し、外国政府のために建設するインフラを運営することで「リスクを負う」よう働きかけている。その一例が、6億6800万ドル(約1050億円)規模のナイロビ高速道路だ。国有企業の中国路橋(CRBC)が建設し、運営も行っている。2022年8月の開業以来、収益や利用量の目標を達成している。 だが、アフリカでこの例に倣う中国企業はほとんどない。 アフリカのインフラ向け融資の減少について中国当局は、貿易と投資へ転換していると説明。一帯一路構想による貿易がアフリカの富と発展を押し上げていると主張する。 <投資> 豪グリフィス大学のグリフィス・アジア研究所によると、昨年の中国のアフリカへの新規投資は114%増加した。しかしその投資先は、世界的なエネルギー転換に不可欠な鉱物資源や、中国経済を立て直す計画に重点が置かれている。 米シンクタンク、アメリカンエンタープライズ研究所によると、2023年の投資額は110億ドル(約1兆7300億円)近くに達する見通しだ。これは、アフリカにおける中国の経済活動の記録を取り始めた2005年以来最高額だ。 そのうち約78億ドル(約1兆2300億円)は銅、コバルト、リチウムなどの鉱物の採掘に費やされた。 <貿易> 重要な鉱物や石油も貿易の中心となっている。しかし農産物や工業製品など、アフリカからのその他の輸入を増やす取り組みは行き詰まっている。その結果、アフリカ大陸の対中貿易赤字は急増した。中国税関データによると、昨年の双方向貿易は過去最高の2820億ドル(約44兆3600億円)に達した。 しかし、アフリカの対中輸出額は実際には7%減少しており、その主な原因は原油価格の下落だ。 そして貿易赤字は46%拡大した。 <これらの結果、中国・アフリカ経済関係の現在地> これらの結果、中国が望むと主張するものよりも一方的な関係になる可能性をはらんでいる。それは、アフリカからの原材料輸入を中心とする関係だ。一部の専門家は、これが植民地時代の欧州とアフリカとの経済関係を彷彿とさせると指摘する。 中国はこうした見方を否定する。中国外務省は、アフリカには「独自の対外関係を築き、パートナーを選ぶ権利、能力、知恵がある」と反論する。声明で同省は「中国がアフリカの特性に応じた近代化の道を実際的に支援することは、ますます多くのアフリカ諸国に歓迎されている」としている。